【プレスリリース】

神戸発電所3号機営業運転開始について
~気候危機を加速する石炭火力の運転に抗議する~

2022年2月1日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

 2月1日、神戸製鋼所は、子会社であるコベルコパワー神戸第2が建設を進めていた、神戸発電所3号機の営業運転開始を公表した。本計画は、神戸製鋼所の高炉跡地に、65万kWの石炭火力発電所を2基建設する計画として2013年から動き始めたものである。神戸製鋼所は、関西電力が実施した火力電源入札に応札、電力需給契約の締結に基づき、2021年度から30年もの長期にわたり、関西電力へ売電するものとなっている。神戸発電所3号機の稼働に対し、気候ネットワークは厳重に抗議するとともに4号機の建設を中止するよう求める。

 気候危機への対応として、COP26・グラスゴー気候合意においては、1.5℃目標の追求と、そのために排出削減対策がとられていない石炭火力発電所の段階的削減の合意が行われたところである。さらに、合意に基づき、各国のさらなる削減行動が要請されている状況にある。にもかかわらず、新規の石炭火力発電所が稼働を開始する日本は、深刻な「石炭中毒」から脱することができずにいる。

 事業者は、国のエネルギー政策に則しており、高効率な火力発電への移行、電源の高効率化に貢献するとしている。しかし、グラスゴー気候合意でもこの10年の削減は決定的に重要と確認されているなか、石炭火力の新設は、これに全く逆行するものにほかならない。

 こうした誤った認識が正されない原因は、国が1.5℃目標を正面から受けとめず、2050年カーボン・ニュートラルに向けて十分な方向性を示せていないことにある。しかし、国は新設石炭火力を、これほどまでに林立させたことへの反省に立たず、アンモニア・水素混焼による延命の支援策を進めている。これでは2030年削減目標の実現へ寄与しないばかりか、再生可能エネルギーへの転換を遅らせることとなる。排出削減が確実視されている風力や太陽光を地域の実情に合わせて、普及を進めていくことが重要である。また、本計画の事業者は、鉄鋼業を本業としていることから、日本における主要な温室効果ガスの排出事業者でもある。脱炭素社会の実現に向けた産業構造の転換は避けられない。排出に対する価格シグナルとしての、カーボンプライシングの導入だけでなく、地域経済を含む公正な移行の検討を通じ、脱炭素社会の実現を目指すべきである。

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【プレスリリース】神戸発電所3号機営業運転開始について~気候危機を加速する石炭火力の運転に抗議する~(2022/2/1)

 

関連声明

神戸の石炭火力発電を考える会による声明

【声明】神戸製鋼所 新規石炭火力発電所 営業運転開始へ抗議-気候危機、大気汚染を加速させる神戸発電所3号機の稼働中止を求める-

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