<プレスリリース>
「建築物省エネ法」の今国会審議で成立を
ゼロエミ住宅・建築の早期実現はカーボンニュートラルの鍵
2022年1月31日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵
先日、今国会において提出予定の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」の改正案が見送られるとの報道があった。法案見送りの方針は、与党自民党内において、参議院議員選挙を控えて国会会期延長を避けることが理由などとされており、脱炭素社会の実現よりも選挙対策の方が重視されている状況は誠に遺憾である。
今回の改正案は、昨年8月に国土交通省の諮問機関である「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の 省エネ対策等のあり方検討会」のとりまとめを受け、2022年1月20日に社会資本整備審議会建築分科会建築環境部会・建築基準制度部会がとりまとめた内容に基づき、2025年に全ての新築建築物に省エネ基準適合を義務付けることや、既存建築物の省エネ適合を進めること、さらに木材住宅・建築物の利用拡大などを盛り込むものだとされる。建設されれば長期に渡って存在する住宅・建築物は、早期にゼロエミッション化を進めることが急務であり、今回の法改正は、その点でまだ不十分さが多くあるが、それでも現行の取り組みを前進させるものとなる。
そもそも、日本における建築物の省エネ対策は、欧州(特にドイツ)など、段階的に断熱基準を高めてきた国と比べて周回遅れであり、この20年近くほとんど対策が進まなかったため、その差が歴然と大きくなり、市民は、”夏は暑く”、”冬は寒い”住宅において、「我慢の省エネ」を強いられてきた。
また、住宅・建築物における太陽光発電や太陽熱・地中熱の利用、バイオマス の活用など再生可能エネルギー設置はポテンシャルが高いにもかかわらず、日本では導入が大変遅れている。
今回の改正はこのような住宅・建築物の対策を改善するものであり、その対応は急務である。日本のカーボンニュートラルの実現の重要な対策分野として、「建築物省エネ法」は、先送りすることなく、今国会において審議し、早期に成立させるべきである。
その上で、住宅・建築物対策は、今回の法改正に止まらず、既存の住宅・建築物のストック対策も含めて、対策が強化されることが求められる。また国民にとっては、イニシャルコストが高くなる分、エネルギーコスト(ランニングコスト)は抑えられることを十分に周知徹底するとともに、低所得者など経済的弱者のための住まいこそ対策が強化されるべきことを認識した上で、炭素税導入の議論や税制優遇策とともに検討されることに期待する。
参考
脱炭素社会に向けた住宅・建築物の 省エネ対策等のあり方検討会とりまとめ「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における 省エネ対策等のあり方・進め方」(2021年8月)
「脱炭素社会の実現に向けた、建築物の省エネ性能の一層の向上、CO2貯蔵に寄与する建築物における木材の利用促進及び既存建築ストックの長寿命化の総合的推進に向けて」(2022年1月20日)
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【プレスリリース】「建築物省エネ法」の今国会審議で成立を ~ゼロエミ住宅・建築の早期実現はカーボンニュートラルの鍵~(2022年1月31日)
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