2025年3月25日、福岡県大牟田市にある「三池石炭火力発電所」を水素混焼へ、次いで水素専焼にするための計画について、環境影響評価の配慮書の縦覧が開始されました。気候ネットワークはこの計画に対して、以下の通り意見書を提出します。

計画の概要

  • 現在は石炭火力で発電がおこなわれており、今後水素35%混焼、専焼へと建設工事を行う計画
  • 水素は隣接の水素製造機で製造予定。再生可能エネルギーを活⽤したグリーン水素を利用する計画。
  • 本発電所は、長期脱炭素電源オークションにて落札済み。

意見

確実に石炭からグリーン水素への転換を

 九州は太陽光発電など出力制御の発生頻度が他よりも高く、余った電力を水素に転換し、他の産業分野などで利用するセクターカップリングは、脱炭素社会の実現に有効だと考えます。その意味において、基本的に水素は電力部門よりも他の高温が必要な部門(鉄鋼や化学工業など)に利用するべきとされている点には留意が必要です。

 国際エネルギー機関(IEA)は、1.5℃以内に気温上昇を抑えるために、先進国は2030年までに石炭火力を廃止させることが必要と提言しています。そんな中、本事業は2033年からの稼働計画で、それまでは既存の石炭火力を使い続け、2029年以降にも水素を混焼で石炭燃料をメインに使い続けることを示唆しています。まずは既存の石炭火力2号機をすみやかに廃止することが不可欠です。

 本計画については、「脱炭素電源」の投資のために長期脱炭素電源オークションで落札しており、社会的には消費者に負担をかけている点からも、グリーン水素への転換がうまくいかない場合に石炭を燃焼させ続けたり、石炭からの脱却を遅らせることはあってはなりません。

 重ねて、水素を使う場合は、再エネを使って製造されたグリーン水素に限定される必要があります。

 現状の石炭火力からグリーン水素専焼への転換を速やかに、確実に実行して頂くよう、よろしくお願いします。

参考

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