パリ協定長期戦略に向けた政府のパブリックコメントがスタートしました。今回の政府案は、4月23日の投稿でご紹介しているとおり、未来の技術のイノベーションに過大な期待を寄せたものであり、今すぐとるべき行動や対策の強んでいない「現状維持」と「先延ばし」を容認するものです。
脱原発と温暖化防止を両立し、持続可能な社会を実現するため、周りの団体・知人・友人にも呼びかけて、ぜひ1人でも多く私たちの意見を政府に提出しましょう!
気候ネットワークでは、以下の7つの点についての意見を強調したいと思います。
1.気温上昇「1.5℃」を目指すことを明記する
(1)気候変動対策の目標として、気温上昇を工業化前に比べて「1.5℃の上昇に抑えること」を明記する。
(2)2030年までの取り組みの強化に向け、温室効果ガスの大量排出国の日本として、気候変動対策の強化の意思を国際社会に示す。
2.2030年の中期目標を引き上げ、エネルギー基本計画を見直す
(1)2030年目標は少なくとも1990年比40~50%削減とする。
(2)2050年代には温室効果ガスの排出をゼロにする(脱炭素社会の実現)。
(3)エネルギー政策を見直し、省エネ推進、化石燃料依存から脱却、再エネ100%をめざす。
3.2050年脱炭素社会実現を明記し、その道筋を明示する
(1)2020年の脱炭素オリンピックを実現する。
(2)2030年に石炭火力フェーズアウトする。
(3)2040年に電源をゼロエミッション化する。
(4)2050年にエネルギーをゼロエミッション化する。
4.「石炭火力のフェーズアウト計画」を策定する
(1)新規石炭火力発電所計画を中止する。
(2)既存の石炭火力発電所の廃止計画を策定する。
(3)2030年石炭火力発電所フェーズアウトを法制化する。
5.炭素予算をつくり、カーボンプライシングを導入する
(1)炭素予算を導入する。
(2)キャップ&トレード型の国内排出量取引制度を導入する。
(3)炭素税の導入と税のグリーン化を実施する。
6.再生可能エネルギー100%ロードマップを策定する
(1)再生可能エネルギーの野心的な目標を定める。
具体的には、2030年50%、2050年100%とする。
(2)再生可能エネルギーの優先給電・接続を制度的に保障する。
(3)送電線利用ルールを改善し、電力系統の強化や効率的運用を実施する。
(4)再生可能エネルギー熱利用の推進政策(熱FITと熱インフラ)を整備する。
(5)持続可能な再エネ導入のための情報公開を行う。
7.新しい未来を市民参加でつくるために必要なしくみを整備する
(1)あらゆる主体が、持続可能な脱炭素社会の実現に参加するしくみを整える。
(2)気候変動政策やエネルギー政策に関する情報開示を担保する。
(3)政策形成プロセスへの環境NGOや市民参加を確保する。
なお、この問題は、日本社会・経済と国民生活の将来像にかかる問題であり、国民的議論のプロセスを十分に踏まえて、決定していくべきです。パブコメ期間も4月24日から5月16日と短く、その間には10日間の大型連休もはさみます。こうした国民軽視で進めるプロセスも大いに問題です。
詳細は、「【提言】パリ協定に基づく「長期低排出発展戦略」に対する提言(2019/1/20)」をご覧ください。
パブリックコメントの募集ページ
● パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)の意見募集について