2025年8月1日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵
気候危機が現実化するなか、国連を中心とする国際合意を高める挑戦が続けられてきました。しかし、対策の緊急性がより認識されるにつれて、「気候訴訟」と呼ばれる新たな訴訟が注目されています。
熱波による熱中症、極端な豪雨による洪水被害、熱波や豪雨、乾燥による農業などへの影響、相次ぐ山火事など、気候の異変は人々の生命、健康や個人の生活そのものを破壊します。気候危機によって脅かされる人々の生命や健康、自由や平等権といった基本的権利の保護・救済は裁判所の役割と考え、裁判所にその役割を求めた訴訟が気候訴訟です。気候ネットワークでは、これらの気候訴訟に注目してきました。
当初は米国や欧州が中心でしたが、近時はブラジルなど中南米などでも重要な判決が出され、インドや東アジアにも広がっています。国に対する訴訟に加え、企業に対する訴訟にも注目すべき動きがあります。地球の温暖化・沸騰化は、やがて不可逆的な段階を迎えるとの科学の警告を受け止めた裁判官の姿をそこに見ることができるでしょう。
特筆すべきことは、危険な気候変動の影響を最も受けることになる若者たちが立ち上がり、原告となって、新しい判例を切り開いていることです。日本でも、昨年8月に若者気候訴訟が提起されています。
本書では、気候訴訟に関わってきた弁護士たちが、この約10年間の世界での特筆すべき動きや判決を、その背景や関係者の取り組みを交えて紹介しています。お時間のあるときにご関心のページを開いてみてくださることを期待しています。2025年7月23日には国際司法裁判所から歴史的な勧告的意見(https://kikonet.org/content/38157)が出されたところですが、今後も新たな動きが期待されます。随時、追加していく予定ですので、今後の更新版にもご注目ください。
ブックレットのダウンロード
世界の気候訴訟:危険な気候変動から護られる権利の確立へ
発行:気候ネットワーク(2025年7月)
A4判/全34ページ
参考
以下の特集ページに、気候訴訟に関連する情報発信や発行物をまとめています。
気候訴訟―司法を通じて気候変動問題を解決する(https://kikonet.org/content/36073)
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