2月7日、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンや気候ネットワークなどの5団体が、斉藤鉄夫国土交通大臣に、太陽光発電設備設置にかかる費用の回収期間について、国土交通省が発行しているリーフレットの記載内容を、最新のものに更新するよう求める要望書を提出しました。

要望書は、同リーフレットが示している「22年ほど」の費用回収期間はかなり保守的な年数と指摘しています。費用回収期間は太陽光導入の意思決定にも大きく影響することが考えられることから、最新のデータおよび地域の実情にもとづいての試算を自治体に促す記載への修正を求めています。

要望書

国土交通大臣 斉藤 鉄夫 殿

2024年02月07日

国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所
国際環境NGO 350.org Japan

2023年は、観測史上もっとも暑い夏でした。2023年末に開かれたCOP28では、2030年までに世界の再生可能エネルギーを現在の3倍まで増やすことが合意されました。再エネ3倍を日本で実現させるためには、屋根置き太陽光の飛躍的導入が必要不可欠です。2022年に改正建築物省エネ法が成立し、「建築物再生可能エネルギー利用促進区域」制度が創設され、貴省から自治体に本制度の活用を積極的に検討するよう連絡をされています。

貴省発行の「(別紙1)説明義務用リーフレットひな形」では、費用回収期間を「22年ほど」としていますが、22年はかなり保守的な年数であり、東京都の資料では、4kWの太陽光パネルを設置した場合、初期費用115万円が13年程度で回収可能(「太陽光パネル設置に関するQ&A」p21 )とあります。

現在、貴ウェブサイト*では、当初記載のなかった以下の注釈がついています。
※本資料は、計画作成市町村において、各地域の実情に応じた内容に変更の上(対象とする区域や設備の詳細、経済性の試算等)、ご活用下さい。

しかし、リーフレットひな形の該当ページ(p6)に注釈はなく、ダウンロードしたものが共有された場合、周知が困難です。

また、リーフレットひな型には下記のようにグラフもついており、自治体がこのグラフをそのまま自治体版リーフレットに転記する可能性も考えられます。そうなれば、地域の実情に合わない情報を元に設置判断がされかねません。

費用回収期間は、施主の意思決定に大きく影響します。最新のデータおよび地域の実情にもとづいての試算を自治体に促すような記載をお願いいたします。

*https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/03.html

要望事項

  • 「(別紙1)説明義務用リーフレットひな形」のページ6に記載されている費用回収期間を最新のデータを元に試算し直した期間に修正すること
  • リーフレットひな形のページ6の費用回収期間に関しては、「各地域の実情に応じた内容に変更の上(対象とする区域や設備の詳細、経済性の試算等)、ご活用下さい」との注釈を該当ページ(ページ6)につけること
  • リーフレットひな形に、自治体が、独自に最新のデータ(発電量情報:https://sii.or.jp/meti_zeh05/uploads/huroku_energy_jissekidata_2023.xlsx)や補助金の情報)でグラフを作成する方法を掲載すること

(別紙1)説明義務用リーフレットひな形

国土交通省資料(別紙1)説明義務用リーフレットひな形 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/03.html 最終更新日:令和5年10月16日

お問い合わせ

本プレスリリースについてのお問い合わせは以下よりお願いいたします。

特定非営利活動法人 気候ネットワーク

(京都事務所)〒604-8124 京都市中京区帯屋町574番地高倉ビル305号(→アクセス
(東京事務所)〒102-0093 東京都千代田区平河町2丁目12番2号藤森ビル6B(→アクセス
075-254-1011 075-254-1012 (ともに京都事務所) https://kikonet.org