JERAの「CO2が出ない火」広告は気候・グリーンウォッシュ~JAROに排除勧告を申立~

2023年10月5日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

2023年夏は、「地球温暖化から地球沸騰化」へ、「気候変動から気候の破滅の始まり」へ、そして人新生のあり方が問われる時代への転機となりました。猛暑で生命の危険が高まるなか、1.5℃目標の重要性を実感した今、誰もが、「やったふり」、即ちグリーンウォッシュではなく、1.5℃目標に向けたCO2排出削減に本気で取り組むことが求められています。
持続可能な経済社会に貢献する消費行動をとるためには、事業者が発する温暖化対策情報は極めて重要です。電気は消費者にとって重要な必需品ですが、発電からのCO2は日本のエネルギー起源CO2の40%をも占めており、消費者として、気候危機を回避し、適正な価格で利用できる電気を選択していくことは重要です。しかし、消費者をミスリードする情報および広告があふれているのが現状です。

広告における訴求・主張は、事実であり、根拠が示されていることが求められます。しかしながら、日本で最大の石炭火力発電事業者であるJERAの「2050年CO2ゼロ」「CO2の出ない火」「ゼロエミッション火力」を標榜する広告は、①石炭火力でアンモニアを混焼するものであること、及びアンモニア製造などの過程で大量のCO2を排出することが告げられておらず、②2030年に20%混焼されても残り80%は石炭を使っており、1.5℃目標の実現に求められる2030年の排出削減と整合していないことなどが示されていません。

そこで、気候ネットワークは環境法律家連盟と共同で、本日、「誤解をまねく広告をなくし消費者から信頼される良い広告を育てる」ことを目指す公益社団法人 日本広告審査機構(JARO)に、このような広告を中止するよう勧告を求める申立をいたしました。

IPCC第6次レポートは、「CO2排出が1トン増えるたびに地球温暖化が進行する」と警告しています。世界では、JAROと同様に広告・表示に関する規制を行う機関が監視を強めています。JAROにおいても、私たち消費者が適切な商品を選択し、消費行動を取り、気候危機の回避に貢献できるために監視の役割を果たし、このような広告の中止を勧告することが、世界から期待されています。

ベンジャミン・フランタ博士(オックスフォード大学)のコメント(仮訳)
『CO2が出ない火』を謳うJERAの広告は、誤解を招きかねません。火力発電所は、化石燃料を直接的・間接的に使用する限り、地中に貯留されていた炭素を大気中に放出することになるため、『CO2が出ない』とは言えず、水素やアンモニアを燃料としたにしても、化石燃料を使って製造する限り、『CO2が出ない』とは言えません。よって、JERAの広告は、化石燃料を使用する同社の火力発電所からは『CO2が出ない』と消費者に誤解を与える可能性があります。                            

ベンジャミン・フランタ博士(Benjamin Franta, JD, PhD)

参考

・株式会社JERAによる不当な広告の中止勧告の申立【全文】(申立書PDF
・株式会社JERAによる不当な広告の中止勧告の申立【要旨】(要旨PDF
・海外の広告に関する判断事例(PDF
・グリーンウォッシュパンフレット(PDF

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