【プレスリリース】電源開発株式会社による松島火力発電所2024年休廃止決定について～2号機のGENESIS松島も計画中止の決定を！～（2023年11月1日）

電源開発株式会社による松島火力発電所2024年休廃止決定について～2号機のGENESIS松島も計画中止の決定を！～

2023年11月1日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表　浅岡 美恵

2023年10月31日、電源開発株式会社（以下「Ｊパワー」）は、2024年度末をもって松島火力発電所の既存2基を休廃止することを決定したと発表した。同社はプレスリリースの中で、「2024年度末をもって松島火力発電所の稼働を停止することとし、これに伴い、1号機は廃止、2号機はGENESIS松島計画に向けて休止することとしました。1号機の一部設備や敷地は、引き続きGENESIS計画や、将来のカーボンニュートラル施策に向けて活用していく予定」と述べている。また、これまでGENESIS松島計画の環境アセスメント文書^[1]において、JパワーはGENESIS松島計画に伴う工事開始時期を2024年（予定）、運転開始時期を2026年度（予定）としていたが、同プレスリリースではそれぞれ2年後ろ倒して工事開始時期を2026年（見込み）、運転開始時期を2028年度（見込み）としている。

松島火力発電所は稼働開始から40年以上が経過する老朽石炭火力発電所である。2050年カーボンニュートラルや2035年までの電力部門の全部または大宗の脱炭素化といった国際合意との整合性を考えれば、すでに廃止の決定がなされて然るべき石炭火力発電所である。しかし、これまでJパワーは、松島火力発電所の1・2号機について、GENESIS松島計画の対象とならない1号機の今後については明確な方針を示していなかった。[1] 本日のプレスリリースに示された「廃止」の決定は、今後のJパワーによるGENESIS松島計画の継続・放棄に関わらず、少なくとも2024年度以降1号機からの年間約300万t-CO2（2019年度実績）の大量の温室効果ガスの排出が回避されることを意味する。遅きに失する決定ではあるが歓迎したい。

一方で同プレスリリースは、GENESIS松島計画の工事・運転開始時期を2年後ろ倒ししたものの、全体としては計画の推進の意志を依然として強く示している。これまで気候ネットワークは、GENESIS松島計画について、1.気候危機への対応として脱石炭に向かう国際合意を踏まえていない、2.CCS、水素、アンモニア混焼等の実施時期が不透明、3.温室効果ガス、大気汚染物質の排出に対する説明、根拠が不十分、という問題を指摘してきた^[2]。今回のJパワーの決定はこれらの問題点の指摘に答えるものではない。

また松島火力発電所の立地地域にとっては、Jパワーの今回の発表においてもGENESIS松島計画をただ２年後ろ倒しにしただけで白紙撤回していないことから地域の将来に不確定な要素が増えたと言える。立地自治体である長崎県西海市や周辺地域、そして市民が一体となって、真のカーボンニュートラルの実現を目指した地域づくりにとりかかるためにも、「公正な移行」に向けた対話をはじめられるようＪパワーが計画中止の英断をすることが求められる。

今後Jパワーにおいては、温室効果ガスの削減効果が乏しく、実現可能性も疑わしいGENESIS松島計画を早期に白紙撤回し、立地地域の公正な移行に対して誠実に関与すべきである。また松島火力発電所も含めた保有するすべての火力発電所についてもそのフェーズアウト計画を示すべきである。さらに政府に対し、すべての既存石炭火力発電所を、目標年次を明確に定めたうえで、フェーズアウトの具体的な道筋を描き、その着実な実施をすると共に、公正な移行に向けた地域支援を改めて求める。

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^[1] GENESIS松島計画　環境影響評価方法書のあらましhttps://www.jpower.co.jp/sustainability/environment/assessment/pdf/matsushima/2208matsushima_aramashi.pdf

^[2] GENESIS松島計画の環境影響評価方法書に対して意見を送りましょう！(2022/9/28)
https://kikonet.org/content/23300

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参考

Jパワープレスリリース「松島火力発電所の今後について～GENESIS松島計画の推進とCO2削減目標に向けた既存設備の更新～」（2023年10月31日）https://www.jpower.co.jp/news_release/2023/10/news231031_2.html

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