<プレスリリース>
四国電力・西条発電所1号機の営業運転開始に抗議する
2023年6月30日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵
6月30日、四国電力は西条発電所(愛媛県西条市)新1号機の営業運転開始を発表した。
西条発電所は石炭を主燃料とする火力発電所で、1号機と2号機(共に亜臨界)で構成されているが、15.6万kWの旧1号機を廃止(2022年3月)し、そのリプレースとして50万kWの新1号機(超々臨界)を建設、昨年11月にボイラーの火入れを行い、12月から試運転を続けてきた。非効率石炭火力である2号機(1970年運転開始、25万kW)の休廃止の計画は明らかになっておらず、1号機の環境影響評価が行われていた時点では、当面の活用を継続するとしていた。1号機の年間CO2排出量は約246万t-CO2と推計されており、2号機の約62万t-CO2と合わせると、308万t-CO2が排出されることになる。
近年、日本国内のみならず世界各地で気候変動による自然災害の被害が報告されている。既に4月には南および東南アジア地域で気候変動による猛暑となり、各地で史上最高気温を記録した。カナダでは高温で乾燥した天気が続き、山火事が発生し、ニューヨークの空をくすんだオレンジ色に染め、深刻な大気汚染をもたらしている。気候危機を回避するために、人為的なCO2排出を削減しなければならない。石炭火力発電所およびガス火力発電所の廃止・削減はなによりも急務である。先進国は2030年までに石炭火力発電所を廃止することが求められているにも拘わらず、石炭火力発電所の新規運転を開始したことに対し、気候ネットワークは厳重に抗議する。
四国電力は、石炭火力発電所を2か所(西条75万kW、橘湾70万kW)、石油火力を1か所(阿南90万kW)、石油・ガス火力を1か所(坂出138.5万kW)と計4か所の火力発電所を保有している。西条1号機の稼働開始により、同社の発電電力量における石炭火力の割合は30%(2021年度)からさらに増加することになる。四国電力は2025年から1号機での下水汚泥固形燃料化物の混焼(予定)や、効率化を図ることで排出削減できるとしているが、実質的な削減効果は乏しく、排出増加は明らかである。
四国電力の「2023年度供給計画(一般送配電事業者分)に基づく四国エリアの電力需給見通し等について」によれば、四国電力管内の電力需要は2022年度(実績見込み)252億kWhから2032年度238億kWhに減少することが見込まれている。四国電力管内では太陽光発電が普及し、再生可能エネルギーの発電量が増加し、2021年12月末の四国における太陽光の接続量は309万kW、風力は28万kWだった。需給バランスの維持として再エネの出力抑制が行われており、今年も既に再エネの出力制御指示が出されている。こうした自然の恩恵がある地域で、再生可能エネルギーを拡大するのではなく、新たに火力発電所を増設し、廃止すべき旧発電所も存続させ、その稼働を優先させることによって再エネ発電所の出力制御を増大させることはあってはならない。こうした動きは持続可能な社会に向けての動きにおよそ逆行するものである。
四国電力が持続可能な地域社会づくりに貢献する事業者として、恵まれた地域の立地環境を生かし、火力発電の稼働を早期に削減・廃止し、再生可能エネルギーへのシフトを加速させることを強く望む。
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