<プレスリリース>

横須賀石炭火力1号機の営業運転開始に対する抗議声明
~JERAは大量のCO2排出を今すぐ止めるべき~

2023年6月30日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

 本日6月30日、JERAは横須賀市久里浜に建設した石炭火力発電所1号機(65万kW)の営業運転開始を発表しました。この1号機は、年間363万トンにも及ぶCO2を排出するものです。気候ネットワークは、気候危機を悪化させる大規模排出源である新たな石炭火力発電所の稼働について、地元住民団体と共に反対を訴えてきました。このたびの営業運転開始に改めて厳重に抗議します。また、試運転中の2号機についても、稼働中止を求めます。

 現在、地球温暖化による影響は非常に深刻になっており、豪雨や洪水、熱波など日本でもかつてない規模の被害が増加しています。世界各地でも異常高温・乾燥による山火事、豪雨や洪水・ハリケーンの巨大化など様々な異常気象によって非常に多くの犠牲が出ています。石炭火力の稼働はこうした気候危機を加速させるものにほかなりません。地球の平均気温は産業革命前に比べて1.1℃以上も上昇したとされています。甚大なリスクを回避するために気温上昇を1.5℃程度におさえる必要があることを踏まえれば、猶予はほとんどありません。世界は、石炭火力のフェーズアウト(全廃)に向けて動き出し、48か国が2030年までの石炭火力全廃を宣言しています。このような状況下で、JERAは、今回の1号機の稼働に加え、同敷地内に2号機(65万kW)の建設もすすめており、来年稼働する予定としています。

 JERAは、2020年10月にゼロエミッションを目指すと宣言し、「ゼロエミッションへの挑戦」を掲げて、『CO2が出ない火をつくる』などと大々的な広告を展開しています。しかし、現実に行っていることは、昨年8月の武豊火力発電所5号機(石炭、107万kW)の稼働開始、今回の横須賀火力1号機の稼働開始、2号機の建設、その他LNG火力の新規建設など、ゼロエミッションどころか、CO2の排出拡大にほかなりません。

 また、横須賀火力発電所の建設計画にあたっては、本来、新規の石炭火力発電所に適用される環境アセスメントが実施されず、国が福島原発事故後に導入した「リプレース改善アセス」-簡略化し、期間を短縮した手続き-のもとで環境アセスメントを実施し、経済産業大臣がこれを確定するという不当な流れで進められたものです。横須賀および東京湾周辺の住民たちは、環境への影響を十分に考慮せずに行われた簡略化されたアセスメントは違法であるとして訴訟を提起し、現在も東京高等裁判所での裁判が進行中です。

 気候危機やエネルギー危機を乗り越えるためには、CO2を出さず、海外からの輸入燃料にも頼らない、再生可能エネルギーによる発電を増やし、そのための送電網を強化していくことこそが重要で、新たな化石燃料火力発電所を増やすべきではありません。JERAは、直ちに横須賀石炭火力1号機の稼働を停止するとともに2号機の建設を中止し、真のゼロエミッションを目指すべきです。

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関連の声明

【横須賀】JERA横須賀石炭火力発電所1号機運転開始に対する抗議

参考

横須賀火力発電所1号機の営業運転開始について(2023/06/30)

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