【パブコメ・意見書】エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令（案）等に対する意見（2016/03/09）

気候ネットワークでは、2016年3月10日締め切りの「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令（案）等に対する意見募集」に対して、以下の意見を提出しました。

意見の内容

経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課パブリックコメント担当御中

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な
利用の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令（案）等に対する意見

意見

・該当箇所??? 基本方針の改正案の前文「エネルギー供給事業者は、太陽光、風力等の再生可能エネルギー源、原子力等の非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に努めることが必要」、「国はエネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進を図るための施策を講ずる」の記述について

・意見内容　原子力について「利用促進に努めることが必要」との内容は削除し、「原発依存度の低減に努めることが必要」とすべき。

・理由　　　　東京電力福島第一原子力発電所事故後、原子力利用は推進されるものではなくなり、むしろ原子力依存度の低減がめざされている。そこで、現行のエネルギー基本計画では「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」との方針を定めている。しかし、事業者が原子力の利用促進に努めること及び政府がそのための施策を講ずるという今回の改正案は、既存の政府方針及び策定済みのエネルギー基本計画との間に深刻な矛盾を生じさせることになる。原子力については、「利用促進に努める」趣旨の文言は削除し、代わりにエネルギー基本計画に沿って「依存度の低減に努める」趣旨の文言を盛り込むべきである。

意見

・該当箇所　非化石エネルギー源の定義

・意見内容　原発と再エネを混ぜあわせて「非化石エネルギー源」と定義することに反対である。

・理由　　　　現行の基本方針に書かれている「ゼロ・エミッション電源」は原発、太陽光、風力など原発と再エネをあわせたものだが、これを今回は「非化石エネルギー源」と名称を変えて、ほぼ同義に使われている。現行の「ゼロ・エミッション電源50％」を設定した1年後の2011年には、東日本大震災とそれによってもたらされた東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、未曾有の原発事故によって、数十万人が土地を奪われ甚大な被害を受けており、放射性廃棄物や放射能の汚染の影響は今なお何も解決していない。こうした状況下で、またここであたかも原発が有望なエネルギー源であるかのように再エネと合わせて「非化石エネルギー源」と定義すること自体、福島原発事故の反省に全く立っていないもので、認められない。

意見

・該当箇所　非化石エネルギー源の目標比率44％について

・意見内容　非化石エネルギー源比率として目標44％として設定すること自体ナンセンスである。むしろ、再エネの野心的な導入目標を設定すべき。

・理由　　　　今回、目標として示された非化石エネルギー源比率44％というのは、昨年夏に決定したエネルギーミックスの原子力20～22％と再生可能エネルギー22～24％を足して中間値をとっただけの数字である。原発20～22％などは既存の原発をすべて動かしても40年廃炉ルールのもとでは到達しえない、達成不可能な値で、これを根拠に目標を設定すること自体がナンセンスである。また、原発と再エネを合わせて目標を設定することは、原発の稼働が進めば進むほど再エネ導入目標量が引き下げられ、普及を妨げることにつながるリスクもある。むしろ、原発抜きの再エネ単体として45％という水準の野心的かつ実現可能な目標を掲げるべきである。

　また、施行規則において「目標の達成が合理的に不可能と認められる場合には、平成28年度の供給計画の最終年度の非化石電源比率以上の比率とする。」とあり、「合理的に不可能」とはどういう状況か、またそれがいつどのように判断されるのかも不明である。この判断の基準や手続きを明示すべきである。