地球温暖化対策計画の空白期間、3年目に突入
~政府は危機感をもち、温暖化対策計画の検討・策定を急ぐべき~

2015年4月1日
特定非営利活動法人気候ネットワーク

本日4月1日、日本は、政府として地球温暖化対策計画をもたない「対策の空白期間」が2年間を超えて3年目に突入した。政府はこの異常事態の深刻さを今一度真摯に受け止め、危機感をもって早急に温暖化対策計画の検討を始め、策定及び実施への見通しをたてなければならない。

地球温暖化対策推進法では、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に進めるため、政府が地球温暖化対策計画を定めなければならないと規定している(第8条)。2012年度までは、目標や対策が不十分ではあったものの「京都議定書目標達成計画」があった。2013年度以降は、この計画を抜本的に強化して低炭素社会に向かうべきであったにも関わらず、温暖化対策計画を策定しないまま2013年度に入り、空白期間が始まってしまった。京都議定書第1約束期間中に芽生えていた企業における低炭素ビジネスの気運はこの2年で低下し、地方自治体の取組みも後退する事態となり、低炭素社会に向かっている国際的な潮流に逆行している。2013年3月に政府が発表した「当面の地球温暖化対策に関する方針」では、関係審議会の検討結果を踏まえて計画を閣議決定するとしているが、依然そのめどはたっていない。

昨年9月の国連気候サミットに世界122か国の首脳が参加するなど、気候変動は国際社会の最重要課題の1つとなった。今年末のCOP21で新たな国際枠組みに合意するために、各国は2020年以降の新しい温暖化対策の国別目標案の提出を始めている。先進国だけでなく途上国においても温暖化対策の関連法制及び行政計画が整備されている中、世界第5位の排出国であり、先進国でもある日本に、政府として目下の温暖化対策計画がないまま放置されているのは異常事態である。

温暖化対策が先送りにされてきた背景には、2011年3月の東日本大震災とこれに続く東京電力福島第一原子力発電所事故によって日本のエネルギー政策の見直しが迫られた経緯があるとされる。現在も政府内で進められているエネルギーミックスの検討は、脱原発と温暖化対策の両立のビジョンをもって持続可能な経済社会の実現に舵を切るきっかけにしなければならない。日本政府は、脱原発を前提に省エネ・再エネを最優先とするエネルギーミックスを固めるとともに、早急に地球温暖化対策計画の検討を始め、野心的な温室効果ガス排出削減目標と達成のための実効性ある施策を位置づける必要がある。新たな温暖化対策計画の策定にあたっては、少なくとも次の課題に対処しなければならない。

  • 「地球平均気温上昇2℃未満」に貢献できるよう、野心的で、国際的に公平な温室効果ガス排出削減目標(「1990年比で2030年までに40~50%削減」に沿うもの)を設定すること
  • 脱原発と温暖化対策の両立の観点から、省エネルギーと再生可能エネルギー普及を進めるための抜本的な政策を位置づけること
  • CO2の大排出源である石炭火力発電所の利用及び新増設を抑制すること
  • 温室効果ガス排出及びエネルギー消費実態に関するデータの情報公開を確保すること
  • 地球温暖化対策の検討及び実施のプロセスへの市民参加を確保すること

 

プレスリリース(印刷用)

地球温暖化対策計画の空白期間、3年目に突入~政府は危機感をもち、温暖化対策計画の検討・策定を急ぐべき~(2015/4/1)

参考リンク

CAN-Japan「2030年に向けた日本の気候目標への提言」

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