3月9日(月)、気候ネットワークは電源開発(J-POWER)が計画している高砂火力発電所(兵庫県高砂市)新1・2号機設備更新に対して意見書(環境影響評価方法書への意見)を提出しました。
意見書では、石炭火力発電はCO2を大量に排出し、気候変動対策の観点から看過できるものではないこと、さらに将来的な電力需要の減少や再生可能エネルギーの普及を考慮すれば大幅な設備増加は不要であることを指摘しています。また、CO2削減対策やCO2排出量の予測・評価手法を具体的に示すことを求めています。
意見書の主なポイントは以下の通りです。
1.石炭火力発電所の建設の問題について
- 天然ガスの約2倍のCO2を排出する石炭火力の新設は、気候変動へ甚大な環境影響を及ぼす。よって、そのことを無視した本事業の実施には反対する。
- CO2排出量は、約0.77kg-CO2/kWh、約810万t-CO2/年としているが、LNG火力の約2倍にも及ぶ排出量であり、拡大によって追加的に排出される膨大なCO2による影響への配慮が見られないことは問題である。
2.CO2排出に関する取り扱いと「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」について
- BAT を採用する場合でも、事業によって引き起こされるCO2 の総排出量の影響を検討し、対応を実施することは、事業者の社会的責任として不可避である。
3.CO2排出による環境影響に関する具体的情報について
- 設備利用率や石炭種など、CO2排出量算出の前提となる情報も明示するべきである。発電効率や送電端効率も環境保全の見地から検討するにあたって重要な情報であり、事業実施の是非にも関わる情報であると考えられるため、事業者はこれを早急に開示するべきである。
4.CO2排出量の予測、評価手法について
- 「実行可能な範囲」で環境負荷が「回避または低減」されているかについて、および「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」との整合性をどのように判断するのか、基準を示すべきである。
- 準備書においては、使用する石炭種別や設備利用率など、算出の前提とする条件を明らかにすることを求める。
- 予測対象時期とされている「発電所の運転が定常状態となる時期」とは、具体的にどのような時期を想定しているのか明示するべきである。
- 予測には、設備利用率の低下や石炭種の変更、経年変化による原単位の悪化およびCCSの導入などによる原単位の改善についても明らかにすることを求める。
- CO2に関連する情報について事後調査を実施し、実測値を公表することを求める。
5.大気への影響について
- 浮遊粒子状物質は一般局23局中1局で短期的評価・長期的評価ともに適合していない。微小粒子状物質(PM2.5)、光化学オキシダントはそれぞれの物質を測定しているすべての測定局で環境基準の評価に適合していない。このような現状に加え、本事業による悪影響が懸念されるが、大気質にどのような影響を及ぼすのか説明を求める。
6.情報公開について
- 縦覧期間が終了しても閲覧できるようにし、期間中においても、印刷が可能にするなど利便性を高めるよう求める。
高砂火力発電所新1・2 号機設備更新計画への意見
- 環境影響評価方法書に対する意見(高砂)(2015年3月9日、PDF)
事業者が公表した環境影響評価方法書
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高砂火力発電所新1・2号機設備更新計画 環境影響評価方法書のあらまし
※方法書本文及び要約書は、閲覧可能期間が終了したためウェブサイトに掲載されていません。