2023年11月30日から12月13日にかけて、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が開催され、気候ネットワークのメンバーもオブザーバー参加しました。
 本ペーパーは、COP28ドバイ会議を取り巻く情勢、交渉の内容や合意のポイントと評価、今後の気候交渉の見通し、COP28後の日本課題についてとりまとめたものです。

目次

  1. はじめに―COP27後の世界情勢
  2. COP28交渉とその結果
  3. 交渉会議をとりまく動き
  4. COP28での日本の動き
  5. 今後の気候変動交渉と日本の課題

概要 Executive Summary

 国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)は2023年11月30日よりアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催され、予定を1日延長した12月13日に閉幕した。
 2023年は観測史上最も暑い一年となり、世界平均気温の上昇が1.5℃に近づきつつあるなか、各地で気候変動の影響とみられる災害が発生した。また、10月にはイスラエルによるガザ地区への侵攻により多くの市民が犠牲となっている。こうした状況のなか、気候変動の国際交渉では、2030年を目前に、各国が気候変動対策をいかに強化し、実行するかの正念場を迎えている。COP28では化石燃料などエネルギーに焦点が当たるとともに、「第1回グローバル・ストックテイク」の結果、損失と損害基金の運用化の交渉に注目が集まった。
 第1回グローバル・ストックテイク(GST)では緩和、適応、実施手段(MoI)と支援、損失と損害といった幅広い気候変動対策の進捗評価と今後の課題や方向性を示す合意文書が採択された。IPCC第6次評価報告書を踏まえ、温室効果ガスを2019年比で2030年までに43%、2035年までに60%削減すること、また2050年までにCO2ネットゼロの必要性が盛り込まれた。緩和分野では、再生可能エネルギー3倍、エネルギー効率2倍とともに、エネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却が合意され、今後の排出削減の方向性が示された。このGSTの結果を受け、各国は次期NDCを2024年末から2025年初めにかけて提出することとなる。損失と損害基金は当面の運用ルールが採択された。同基金は条約の資金メカニズムの一つに位置づけられ、最初の4年は世界銀行がホスト機関を担うことが決まった。会議初日に採択されるという異例の結果となったが、その後、会議終了までに議長国UAEをはじめ各国が資金拠出を約束した。一方で、損失と損害に対応するには足りないことも指摘され、資金の動員が今後の課題の一つとなる。COP27で立ち上がった「公正な移行作業計画(JTWP)」は、COP28で作業計画の詳細が議論された。各国の意見が分かれたが、作業計画は人権、持続可能な環境など広範な権利や締約国の義務を包含し、毎年のCOP決定を伴うことや、第2回GSTおよびUNFCCCのほかのプロセスにも貢献することが合意されるなど、社会的包摂を含む内容となった。他、緩和作業計画や適応に関する世界全体の目標(GGA)などは合意がなされた一方で、カーボンクレジットに関するパリ協定6条は結論が出せずCOP29に先送りにされるなど、多くの議題が議論を継続することになった。
 交渉外では様々なイシューでの気候変動対策主流化につながる宣言が数多く発表された。有志国による脱石炭、再生可能エネルギー拡大への動きも加速した。またCOPとしては初めて、市長など地域リーダーのサミットが公式イベントとして開催された。気候変動対策強化に向けて非国家アクターの存在感がますます増している。NGO・市民社会は気候危機の最前線に立つコミュニティの声を届けるために尽力し、「誰も取り残されない」社会の実現のために、活動分野の垣根を越えて協働し、幅広い声を集め、市民社会からの要請を交渉官たちに訴えた。
 化石燃料にどう向き合うか各国が意見を出すなか、交渉内外で、自国の気候変動・エネルギー政策に縛られ、石炭火力依存から抜け出せない日本の姿があらためて浮き彫りとなった。岸田首相のスピーチは環境NGOの世界的ネットワークであるClimate Action Network(CAN)が主催する「本日の化石賞」を受賞した。岸田政権は、2050ネットゼロに向けた「多様な道筋」を強調するが、1.5℃目標とネット・ゼロを目指すにあたって描くべき道筋は、この10年でいかに早期に化石燃料から脱却できるかである。現行の政策で実質的な削減につながらないものを見直し、大胆な政策転換を行うことが求められている。

PDF版ダウンロード

COP28ドバイ会議の結果と評価―1.5℃目標の実現のため脱化石燃料に向けて踏み出す(PDF

COP28関連情報まとめページ

COP28/ CMP18 / CMA5 ドバイ会議(2023年11月30日~)

特定非営利活動法人 気候ネットワーク

(京都事務所)〒604-8124 京都市中京区帯屋町574番地高倉ビル305号(→アクセス
(東京事務所)〒102-0093 東京都千代田区平河町2丁目12番2号藤森ビル6B(→アクセス