<プレスリリース>

G7気候・エネルギー・環境大臣会合閉幕にあたって
脱石炭と2035年電力部門の脱炭素化の合意を受け、日本も政策転換を

 

2022年5月28日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

 5月26-27日にベルリンで開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合が、コミュニケ(合意文書)を採択して閉幕した。同会合には、日本から経済産業省の細田副大臣と環境省の大岡副大臣が参加したが、気候変動問題が重要なトピックとされていたにもかかわらず、山口環境大臣は参加しなかった。この会合に環境大臣が参加しなかったことは、日本の政策における気候変動対策の優先度の低さを物語るものであり、大変残念である。

今回、石炭火力発電の全廃時期や電力部門の対策が重要な焦点のひとつになっていたが、最終的にまとまったコミュニケでは、2035年までに電力部門を脱炭素化するとともに、2030年の国別削減目標(NDC)達成に向け、各国の電力部門のトランジションおよびネットゼロを達成させるため、国内の「排出削減対策がとられていない(unabated)」石炭火力を段階的に廃止する具体的かつタイムリーな処置を実施することへの合意がはかられた。日本は残念ながら、今回の会合でも繰り返し脱石炭に反対の姿勢を貫き、国内事情を主張した。脱石炭の潮流に向かう踏み込んだ内容とはなったが、日本と米国の反対により、石炭火力発電の全廃時期については明記されなかったとされる。

現状の日本のエネルギー基本計画は、石炭を重要なエネルギーとして位置づけ、2030年の電力構成で19%を石炭火力で賄うとしているが、これは今回の合意のタイムラインには全く整合しないものとなった。また、日本は水素・アンモニア混焼、CCUSなど、実用化に全く程遠い技術を対策の柱に位置付けて石炭火力を延命する策をかかげているが、これも「1.5℃目標」およびネットゼロのシナリオに整合するものではないことは明らかである。日本が脱石炭の対策を進めなければ、2030年にも石炭火力をゼロにすると見込まれる他のG7各国との隔たりは広がるばかりであり、孤立を深めかねない。

また、2021年のG7首脳会議で合意されていた排出削減対策が取られていない石炭火力発電への新たな公的融資を2021年末に停止することに合意していたことに続き、温度上昇を1.5℃に抑え、パリ協定の目標に合致させるため、限定的な状況を除き、世界における化石燃料エネルギー部門への新たな直接的公的支援を2022年末までに終了することにも合意している。

来る6月の首脳級のG7サミットでは、さらに意欲的なG7合意が図られるべきであり、日本が野心的な合意の足を引っ張るような対応をとるべきではない。2030年までの国内の石炭火力発電の全廃や2035年までの電力脱炭素化を国内政策に反映する方針を示し、岸田首相がG7サミットに臨むことに期待する。

参考ページ

G7 Climate, Energy and Environment Ministers’ Communiqu?(英語)

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【プレスリリース】G7気候・エネルギー・環境大臣会合閉幕にあたって 脱石炭と2035年電力部門の脱炭素化の合意を受け、日本も政策転換を(2022年5月28日)