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 本日、上記5つの環境団体は、安倍晋三首相および関係閣僚に対し、ベトナム・ブンアン2石炭火力発電事業(注1)に公的支援を行わないよう求める要請書(別添)をファックスにて提出しました。
気候変動の危機が深刻になっています。オーストラリアでは4ヶ月以上にわたり森林火災が継続的に発生し、今年に入りインドネシアが大洪水に襲われました。日本でも台風や酷暑による影響が年々大きくなっています。こうした被害の悪化を防ぐために私たちに残された時間はほとんどありません。新規の建設中止はもとより、既存の石炭火力発電所を段階的に閉鎖しなければならないという科学的知見に基づき、世界は、脱炭素化に向けて動き始めています。一方、日本は世界の潮流に逆らい、今も国内外で石炭火力発電所の建設を進め、国際的な批判の声があがっています。

要請書は、安倍総理及び関係閣僚に対して、以下の2点を求めています。
1. ベトナムのブンアン2石炭火力発電事業への公的支援を行わないことを速やかに決定し公表すること。
2. パリ協定を踏まえ、海外の石炭火力発電への公的支援に関する4要件を見直し、今後、海外の石炭火力発電事業への公的支援を一切行わない方針を公表すること。

注1:
ベトナム中部ハティン省の経済区に建設が予定されている石炭火力発電所。2020年に建設開始、2024年に稼働開始予定。
事業規模:1,200メガワット、超々臨界圧
総投資額:22億ドル(約2,500億円)
事業者:Vung Ang 2 Thermal Power Company(VAPCO)。 VAPCOは、OneEnergy Ltd.が100%出資する特別目的事業体(SPV)で、OneEnergyの主体は三菱商事。
融資機関(見込み):三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、国際協力銀行(JBIC)
保険引受(見込み):日本貿易保険(NEXI)

注2:
第 5 次エネルギー基本計画に記載されている石炭輸出に関する 4 要件:1. エネルギー安全保障及び経済性の観点から石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国、2. 相手国から、我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合、3. OECD ルールも踏まえつつ、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合、4. 原則、世界最新鋭である超々臨界圧(USC)以上

要請書本文

【要請書】ベトナム・ブンアン2石炭火力発電所を支援しないでください(PDF)

私たち上記の環境NGOは、日本政府に対し、ベトナム・ブンアン2石炭火力発電所への支援を行わないよう求めます。

気候変動の危機が深刻になっています。オーストラリアでは4ヶ月以上にわたり森林火災が継続的に発生し、今年に入りインドネシアが大洪水に襲われました。日本でも台風や酷暑による影響が年々大きくなっています。こうした被害の悪化を防ぐために私たちに残された時間はほとんどありません。気候危機を食い止めるため、新規の石炭火力発電所の建設中止はもとより、既存の石炭火力発電所を段階的に閉鎖しなければならないという科学的知見に基づき、世界は脱炭素化に向けて動き始めています。一方、日本は世界の潮流に逆行し、今も国内外で石炭火力発電所の建設を進めているため、日本に対する国際的な批判の声が高まっています。

現在、日本の商社である三菱商事がベトナムでブンアン2石炭火力発電事業を推進しており、日本政府による支援が検討されていると理解しています。同事業においては、三菱商事と合弁を組んでいた香港企業CLPホールディングスが2019年12月17日に脱石炭方針を発表し、同事業から撤退しました 。また、融資団に参加していた英スタンダード・チャータード銀行 、シンガポールOCBC 、DBS銀行 も相次いで撤退し、融資を検討しているのは現状、日本の公的及び民間銀行だけになっているとみられます。

石炭火力発電から再生可能エネルギーへのシフトがベトナム側にとって経済的合理性があることもすでに示されています。2019年9月に英シンクタンクのカーボントラッカーが発表したレポートによれば、ベトナムにおいても2022年までに既存の石炭火力発電の操業コストより太陽光発電の建設コストのほうが安価になると分析されています 。再生可能エネルギーの経済性が向上している中、これ以上ベトナムで石炭火力発電事業を進めるのは、企業にとっても大きなリスクです。また、日本がTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)勧告 を適切に実施する上でも、これ以上、日本の金融機関の保有炭素関連資産を増加させることは問題です。

日本政府はこれまで、エネルギー基本計画の4要件 を示しながら、「低炭素型インフラ輸出」を積極的に推進する方針を取っていますが、一方で2019年6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」では、「海外におけるエネルギーインフラ輸出を、パリ協定の長期目標と整合的に世界のCO2削減に貢献するために推進していく」と定めています。 新規石炭火力発電の建設は、パリ協定の目標と整合性を持ちません。しかしながら、ブンアン2石炭火力発電事業の他にも、日本の官民は新規案件として依然、ベトナム・ビンタン3石炭火力発電事業(三菱商事出資)及びインドネシア・インドラマユ石炭火力発電事業(JICA支援) に関わっています。

私たちは安倍総理及び関係閣僚に対して、以下の2点を求めます。
1. ベトナムのブンアン2石炭火力発電事業への公的支援を行わないことを速やかに決定し公表すること。
2. パリ協定を踏まえ、海外の石炭火力発電への公的支援に関する4要件を見直し、今後、海外の石炭火力発電事業への公的支援を一切行わない方針を公表すること。

以上

CC:
内閣官房長官 菅 義偉 様
経済産業大臣  梶山 弘志 様
財務大臣 麻生 太郎 様
外務大臣 茂木 敏充 様
環境大臣 小泉 進次郎 様
経済産業副大臣 牧原 秀樹 様
経済産業副大臣 松本 洋平 様
財務副大臣 遠山 清彦 様
財務副大臣 藤川 政人 様
外務副大臣 若宮 健嗣 様
外務副大臣 鈴木 馨祐 様
環境副大臣  佐藤 ゆかり 様
環境副大臣  石原 宏高 様
株式会社国際協力銀行 代表取締役総裁 前田 匡史 様
株式会社日本貿易保険 代表取締役社長 黒田 篤郎 様

連絡先

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