<プレスリリース>

愛媛県西条火力の環境アセスメント準備書に対し環境大臣が「再検討」を要請
~事業者は計画を中止せよ~

2018年12月3日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美惠

 11月30日、四国電力が愛媛県西条市で計画している「西条発電所1号機リプレース計画」の環境影響評価準備書に対する環境大臣意見が公表された。大臣意見書では、「本事業により新たに排出されるCO2排出量が年間246万トン程度にも及ぶこと」から、「環境保全面から極めて高い事業リスクを伴うもの」であるとし、事業者に対しては、「2030年度及びそれ以降に向けた本事業に係る二酸化炭素排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、あらゆる選択肢を勘案して検討することが重要」だと指摘された。

 しかし、環境大臣は、石炭火力発電所新設計画の環境影響評価準備書において、これまで愛知県の武豊、島根県の三隅、兵庫県の神鋼の各計画に対して「再検討」を求める同様の意見書を公表してきたが、いずれも事業者が大臣意見を真摯に受け止めることなく、建設に着工している。今回の環境大臣意見書が、世界の脱石炭の動向や世界の潮流に反すること、事業リスクが極めて高いことを指摘しながらも、「再検討」を求める程度にとどまっているのは、事実上の容認ともいえるものであり、大変遺憾である。

 本計画は、西条発電所1号の既存の発電所の規模15.6万kWを、3倍以上の50万kWに増強する計画で石炭を燃料とする大規模火力発電所の建設計画である。CO2 排出量は、現状の1号機の約99万トン/年から約246万トン/年へと膨大に増加する。さらに、2024年から運転開始予定とされており、2050年を超えてCO2排出を固定化させかねない。本計画は、パリ協定の要請と整合せず、社会的説明責任も果たされていない。

 四国電力管内では、昨年日本ではじめて原発が稼働していない中において自然エネルギー100%の時間を達成した地域でもあり、自然エネルギーのポテンシャルが非常に高い。こうした利点を活かしたエネルギーシフトを真っ先に目指すべき地域でもある。また、四国電力は、宮城県の仙台港で石炭火力発電所の新設計画をしていたが、今年4月10日に撤退する英断を下した。事業者が、環境大臣の意見を真摯に受け止め、あらゆる選択肢を考慮して事業を再検討し、仙台同様、事業を中止する英断を下すことに期待したい。そして、四国特有の自然に恵まれた環境を持続的に維持できるよう、自然エネルギーを活用するエネルギーシフトへと大転換することに期待したい。

 なお、経産大臣にあっては、事業者に対して環境大臣意見を勘案し、具体的な道筋が描けていない状況に鑑み「再検討」を行うよう勧告すべきである。

プレスリリース

愛媛県西条火力の環境アセスメント準備書に対し 環境大臣が「再検討」を要請 ~事業者は計画を中止せよ~

参考

環境省「西条発電所1号機リプレース計画環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について
気候ネットワークプレスリリース「四国電力の仙台における石炭発電所計画撤退を歓迎~住友商事も速やかに撤退し、計画中止とすべき~」(2018年4月10日)

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