<プレスリリース>
環境大臣、愛知の石炭火力新設計画も是認せず
石炭火力発電所新規建設計画のゼロベースの見直しを
2015年8月17日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
環境省は8月14日、中部電力が愛知県武豊町で計画している石炭火力発電所の建設について、環境影響評価法に基づき提出された計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見を公表し、「是認することはできない」という立場を表明した。気候ネットワークは、山口での計画に続き、石炭火力発電所建設計画に異議を唱えた環境大臣の意向に賛意を表明する。
これまで環境大臣は、山口県宇部市で計画されている山口宇部パワー株式会社の「西沖の山発電所(仮称)」に対して本年6月12日にも「是認しがたい」との意見を表明し、電力業界全体の枠組みの構築を「早急に求める」としてきた。この後7月2日、電気事業連合会と新電力(特定規模電気事業者)等23社が2030年度の排出係数を0.37kg-CO2/kWh程度を目指すとする「電気事業における低炭素社会実行計画」や自主的枠組みを発表しており、その後はじめての環境大臣意見となる。今回、この業界団体の自主目標の実効性を疑問視し、具体的な仕組みやルール作りが必要不可欠だとしてその再考を促すとともに、今後も石炭火力発電所の新増設計画に異議を唱え続けるとした。
中部電力の武豊石炭火力発電所の計画は、総出力は107万kWと大規模火力発電所で石油火力から石炭火力に切り替えるものとされる。2018年度に着工し、21年度の運転開始を目指しているが、建設・運転されれば、推計で年間640万トンものCO2を排出する。電気事業者らによる枠組みが構築されようとも、長期間CO2を大量に排出し続けることには変わらない本石炭火力発電所建設計画は、低炭素社会構築に逆行するものであり、気候の安定化に向けて地球の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃未満とするためにかかげる2050年80%削減の国内目標からも大きく逸脱するものである。
今回の環境大臣の意見をふまえ、経済産業大臣は当該事業の再考を促すような判断が求められるとともに、中部電力は当該事業を抜本的に見直し、環境負荷の大きい石炭火力発電ではなく、クリーンな再生可能エネルギーの事業計画に切り替えるべきである。また、現在国内で計画されている48以上の石炭火力発電所の建設においても、次世代に大きな負荷を残す石炭火力を見直し、持続可能な電気事業へと切り替えることを求める。
関係リンク
〇環境省「武豊火力発電所リプレース計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について」
〇電気事業連合会10社と新電力等有志23社「電気事業における低炭素社会実行計画」の策定について
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【プレスリリース】環境大臣、愛知の石炭火力新設計画も是認せず 石炭火力発電所新規建設計画のゼロベースの見直しを(2015/8/17)
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