2024年11月6日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

 11月11日から22日にかけて、アゼルバイジャン・バクーにて国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)が開催される。COP29は「資金のCOP」ともいわれ、2025年以降の気候資金の目標(NCQG)やパリ協定6条などが主要な論点となる。
 会議に先立ち、UNEPが発表した「排出ギャップ報告書2024」では、2023年の世界の温室効果ガス排出は2022年よりも増えたことや、次期NDCで高い野心を掲げ、直ちに実行しなければ、世界の平均気温は今世紀中に最大で3.1℃上昇することを指摘し、日本を含むG20の行動の強化と加速を促している。COP29にて、各国が2025年2月までに提出することになっている2035年の排出削減目標(国が決定する貢献、NDC)引き上げの機運が醸成されるかにも注目が集まっている。

 日本が新たな政府のもとでパリ協定1.5℃目標と整合する気候変動対策を打ち出し、世界全体の野心の引き上げと行動の加速に貢献するべく、COP29において、以下の点を日本政府に求めたい。

1.途上国のニーズに合致した気候資金目標の合意と日本の貢献度を高める
 COP29では2025年以降の気候資金目標(NCQG)が合意されることとなっているが、10月のハイレベル対話では未だ各国の意見に相違が見られた。途上国の気候変動対策を阻んできた一因は資金不足である。十分な資金支援がなされることで、途上国の野心を高め、行動を促すことにも寄与する。気候危機が深刻化するなか、新しい資金目標は途上国のニーズに合致した形で、その大部分を公的資金とし、緩和、適応、損失と損害に対し十分な資金目標が合意されることが望ましい。また、日本政府をはじめ先進国政府には、2025年以降の資金支援の積み増しを表明する等、より大きな貢献も期待される。

2.1.5℃目標に整合した、より野心的な2035年目標の提出を約束する
 COP28での第1回グローバル・ストックテイク(GST)を受け、各締約国はその結果を参照し、次期NDCを2025年2月までに提出することとなっている。GST合意では残余のカーボンバジェットの急速な減少への危機感を示し、1.5℃目標達成のために温室効果ガスを 2019年比で2030年までに 43%、2035年までに60%削減する必要性が盛り込まれた。先進国であり歴史的な温室効果ガス排出責任を負う日本は、その責任に応じた公平な削減負担として、2013年度比75%以上の排出削減(2019年度比71%以上の排出削減)を2035年目標として掲げるべきである。

3.石炭火力の廃止年限を明示し、COP28決定の化石燃料からの脱却および再エネ拡大と徹底した省エネによる脱炭素に貢献する
 パリ協定の1.5℃目標に整合するためには、日本を含めたOECD諸国が2030年までに石炭火力を廃止する必要がある。そして、COP28GST合意では「化石燃料からの脱却と再エネ3倍・エネルギー効率倍増」が盛り込まれた。しかし、日本政府はG7で唯一石炭火力廃止の年限を明示していない。それどころか、GXと銘打って国内外で水素・アンモニア混焼やCCSへの多額の資金支援を行い、石炭火力発電の廃止とは真逆の方向に進んでいる。COPでの国際合意に沿って、日本政府には国内の石炭火力の廃止年限を明示し、国内外での化石燃料からの脱却と再エネ拡大・省エネのために資金を振り分けることが求められる。

以上

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