広島市南区仁保沖町1番1号(マツダ株式会社宇品工場敷地内)において計画されている、アンモニア活用火力発電所事業について、意見を提出しました。

既存石炭火力の廃止時期について

本計画は、マツダ本社工場内の石炭火力発電設備をアンモニアを燃料とするガスタービン発電設備に置き換えるものとされています。しかし、事業の開始時期に関する言及がないため、この計画が気候変動対策として十分かどうかを判断するのは困難です。また、気候変動による深刻な影響を軽減するためには、カーボンニュートラルの達成だけでなく、パリ協定で定められた1.5℃目標の実現が重要です。

貴社は、2035年の自社工場でのカーボンニュートラル達成、ならびに2050年のカーボンニュートラル実現に向けた挑戦を目標に掲げています。しかし、1.5℃目標の達成には、先進国において2030年までに石炭火力発電を全廃する必要があるとされています。そのため、老朽化している既存の石炭火力発電設備の廃止時期を明確に示すべきです。

燃料のアンモニアについて

石炭火力の代替として、アンモニア燃料の導入を「カーボンニュートラル」施策の一環とされています。本計画では、天然ガス由来の「ブルーアンモニア」の使用を検討していますが、二酸化炭素排出が完全にゼロとはいえません。天然ガスの採掘においては、メタンの漏出もあり、化石燃料利用の継続につながります。そのため、ブルーアンモニアの利用を「極めて先進的」と評価することはできません。アンモニア火力の計画および燃料の再検討が不可欠です。

複数案の検討について

本計画では、アンモニア専焼かアンモニア分解ガスを使用するかの2案が示されていますが、アンモニア火力以外の案についての検討が示されていません。老朽化した石炭火力発電所をアンモニア専焼にリプレースすることでカーボンニュートラルの実現を謳っていますが、ブルーアンモニアの利用では環境負荷が大きいことは明白です。そのため、事業計画における複数案の検討では、再生可能エネルギーや蓄電池の活用など、化石燃料以外の発電方法へのシフトも考慮に入れるべきです。

参考

手続き実施中の事業:アンモニア活用火力発電所整備事業【広島市HP】

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