【プレスリリース】
東京海上・株主総会で東アフリカ原油パイプライン(EACOP)の関与を否定せず
~メガバンク3行が同事業から距離をとる中で東京海上の評判リスクが上昇~

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
国際環境NGO 350.org Japan
Insure Our Future
国際環境NGO FoE Japan
メコン・ウォッチ

6月26日、東京海上ホールディングス株式会社(以下、東京海上)の年次株主総会が開催されました。日本の環境NGOスタッフも株主として参加し、国際的に注目されている東アフリカ原油パイプライン建設事業(EACOP)への同社の関与を質問したところ、東京海上の経営陣からは、個別案件にはコメントできないとの趣旨の回答がありました。私たち環境NGOは、同社に対してEACOP事業を含む新規化石燃料事業への保険引受停止を求めています。

EACOPは、フランスのトタル社が主導する、ウガンダとタンザニアを結ぶ全長1443kmの世界最長の加熱式原油パイプラインの建設計画であり、石油生産による大量のCO2排出や、ラムサール条約で指定された湿地・野生生物保護区における生態系破壊、約4千万人の生活を支える水資源の汚染リスク、現地住民への人権侵害等の懸念から、世界中で批判の声が上がっている事業です。

今月2日に三菱UFJフィナンシャル・グループが「支援に関与していない」と表明したことにより、大手邦銀3行全てが同事業と距離をとっていることが明らかになりました。本事業の中止を求める「#STOPEACOPキャンペーン(1)」によると、27行が関与しないことを表明しています。保険引受に関しては、チューリッヒ、アクサ、アリアンツ、ミュンヘン再保険等の保険会社22社が同プロジェクトへの関与を否定しました。一方、関与を疑われているにも関わらず、東京海上はいまだに保険引受者としての関与を否定していません(2)。以前、東京海上は、オーストラリアのカーマイケル炭鉱事業について関与を否定したことがあり、個別の案件だからコメントできないという理由は一貫性が欠如しています。世界の大手保険会社が本事業への関与を否定している中、東京海上が明確に関与を否定しないことに対しては、企業価値の損失に繋がることを懸念しています。

2021年に国際エネルギー機関(IEA)が発表した報告書「Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector」によれば、新規の化石燃料採掘事業は行うべきではなく、発電セクターにおいては世界全体で2040年に排出量をネットゼロにする必要があります(3)。東京海上に対しては、EACOP事業を含む新規化石燃料事業への保険引受停止を強く要請します。

注釈
  1. https://www.stopeacop.net/banks-checklist
  2. https://www.stopeacop.net/insurers-checklist
  3. International Energy Agency (IEA), (2021), 「Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector」, p. 20, (PDF)

本件に関する問い合わせ先

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝、tanabe[@]jacses.org