2006年8月23日
COP6に向けての要望書
気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵
川口順子 環境庁長官殿
朝海和夫 特命全権大使(国際貿易・経済・地球環境問題担当)殿
11月13日から開催される気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)は、京都議定書の2002年発効に向けた極めて重要な会議です。しかし、これまでの京都議定書をめぐる国際交渉は「抜け穴」探しになっており、このままでは削減議定書ではなく、温室効果ガスの増加を許す議定書になってしまいかねない状況にあります。私たち、地球温暖化問題に取り組む環境NGOは、COP6に向けて、日本政府に対し以下のことを強く要望いたします。
1.吸収源問題、遵守問題、京都メカニズムなどの現在の交渉ポジションを速やかに改めること
私たちは、日本政府の交渉姿勢に大きな懸念を抱いています。日本政府のCOP6に向けてのポジションは、吸収源、遵守問題、京都メカニズムなど重要な交渉課題すべてにおいて京都議定書の歴史的意義を失わせかねないものです。とりわけ、「3.7%分を獲得する」とした吸収源のポジションは、一部の国に大きな吸収量を認め、結果的に数値目標を無意味なものにするという、環境・経済の両方の視点から、有害な主張というほかありません。また遵守制度については、議定書の信頼性を高めるために不可欠な強制的な制裁措置に反対し、交渉の進展を妨害しています。COP6で、これまでの立場に固執した主張を続けるならば、日本は、京都議定書の「抜け穴」探しに狂奔し、交渉を妨害した国との印象を後世に残すことになることは明らかです。
私たちは、このような現在の交渉ポジションを速やかに撤回し、特に以下の前向きなポジションに改めるよう、強く要望いたします。
- 吸収源
第1約束期間では、吸収源の活動は極めて限定的に適用し、通常の林業活動による植や再植林などを含めないこと。また3条4項の追加的活動は認めないこと。 - 遵守
議定書の改正を回避することを交渉の既定方針とせず、議定書の遵守確保に最も効果的な制度の構築を優先すること。 - 京都メカニズム
利用に上限を設け、「抜け穴」を出来るだけ塞ぐとともに、クリーン開発メカニズム・共同実施については、対象プロジェクトから原発や吸収源による事業などを除外すること。
2.COP6で、京都議定書の批准の時期を明らかにすること
日本政府は、COP6で、京都議定書の2002年発効に不可欠である自らの批准の時期を明らかにすべきです。日本が早期の批准時期を明らかにすることは、COP6の成功に大きな意味を持ちます。先進各国がCOP6での合意を受けて、京都議定書の発効に向けた国内対策に直ちに着手するためにも、日本政府が率先して実効性のある国内対策を明示していく姿勢が求められています。
COP6では、COP3議長国であった日本政府が、「抜け穴」のない実効性のある京都議定書を真の削減議定書として早期に発効できるよう、強いリーダーシップを発揮されるととにも、従来のポジションにこだわることなく、迅速で的確、かつ前向きな決定・決断をされることを強く期待します。
「環境・持続社会」研究センター(JACSES) /環境エネルギー政策研究所 /気候ネットワーク /市民フォーラム2001 /世界自然保護基金日本委員会(WWFジャパン) /地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA) /地球の友ジャパン /熱帯林行動ネットワーク(JATAN) /A SEED JAPAN/
問合せ
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