2006年8月23日

COP8声明
「南北の溝を埋めて再出発を「京都会議」の先をみるべき時がきた」

 

気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

ニューデリーで開かれたCOP8は11月1日、貧困と温暖化の現実の脅威にあえぐ南の国の苦悩がCOP8会議場にこだまする中、閉幕した。
 この会議で顕著であったのは、米国とOPEC諸国の京都議定書を葬り去ろうとする巧妙な策動であった。またそこに、議長国インドが全体をとりまとめる役割を果たさなかったことも加わり、「デリー宣言」の内容は極めて乏しいものになった。

だが、COP8は、京都議定書の発効を当然の前提とし、ロシアやカナダの早期批准を促した上で、人類共通の温暖化の悪影響を回避していくために、京都議定書の採択から発効への京都会議(COP3)を核とするプロセスから、次のステップに踏み出すべき時にきたことを示した会議として記憶されるだろう。

議定書発効までの遅々とした歩みに先行するように、世界の至るところで気候異変が現実のものになっている。IPCC第三次報告は、今後の更なる深刻な気候異変を示している。例え現在の温室効果ガスの濃度に止めたとしても、1度かそれ以上の気温上昇は避けられないと考えられている。今後の排出はさらにそれに加速する。2度の上昇がもたらす影響は、多くの途上国が抱える貧困と健康の問題を一層加速させる。

COP8では、こうした科学が証明するところから、人類が生存できる時間枠で温暖化を抑止していく今後のプロセスが緊急で不可避であることを見据えつつも、貧しい国々の経済発展と先進国の責務の履行を求める南と、途上国参加の道筋づくりを主眼とする北との対立を残したまま終わった。次のステップに踏み出すために、COP9までに南北の信頼を築いていかなければならない。

生存と地球規模での公平を求める途上国の声に対して、日本が、その直面する温暖化の悪影響への適応と、効果的対策のための適切な技術と資金の移転を実施していくべきことはいうまでもない。?
 同時に、京都議定書の第1約束期間の削減目標は、今やますます小さな一歩に過ぎなくなった。日本を含む先進国が、第1約束期間の目標達成を国内対策で確実に実施することはもとより、その後の長期的視点を踏まえた大幅な削減に挑戦し、地球規模での温暖化への取組に貢献し、持続可能な社会と経済を築いていくことは、私たちの将来世代への責任であり、将来への希望である。

 

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