2007年07月25日

今ここで抜本的な対策・政策強化を盛り込むべき
~中央環境審議会地球環境部会・
産業構造審議会地球環境小委員会合同会合中間報告素案について~

 

気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

本日7月25日に開催された中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会第20回合同会合において、京都議定書目標達成計画評価・見直しの中間報告の素案が提示された。残念ながら、現行対策の不十分さへの認識を欠き、排出削減の緊急性への緊迫感が感じられない。

地球温暖化問題が環境的にも政治的にも地球規模で加速的に変化している。京都議定書の第1約束期間を半年後に控えた今回の見直しは、わが国が京都議定書の目標達成を確実にし、将来の温室効果ガス大幅削減に対応して行く重要な機会である。しかしながら、本中間報告素案では小手先の対応にとどまっており、必須の重要対策を先送りしてしまったと言わざるを得ない。特に、最大の排出部門である産業・エネルギー転換部門での確実な削減への視点が欠落していることは看過できない。
 日本政府は、省エネ世界一を標榜するだけで、長期的戦略のもとに早期に大幅削減社会構造への転換に踏み出そうとしていない。このままでは、6%削減目標達成も来年のG8サミットの成功も危うく、国際社会でも信頼を失い、次期枠組みの議論にも後手に回ることになりかねないであろう。国内対策を中心として、6%削減の達成を確実にする抜本的な政策の導入と実効性のある既存施策の強化をはかるべきである。
 こうした視点から、私たちは全ての主体に対して課税による価格効果で削減を促す炭素税(環境税)や大規模事業所に排出枠を設ける国内排出量取引制度(キャップ&トレード)の実現を求めてきたが、当面、実行に移すべき重点項目として、今回の中間報告に特に以下のような政策の導入・強化を盛り込むことを提案する。

  • 事業所・事業者や少なくとも業界(業種)単位で、適切な総量目標による政府との協定化や削減計画書の義務化などの大規模排出事業者に対する法的制度の導入
  • 新築住宅・建築物の省エネ基準義務化/既存住宅・建築物の省エネ化を促進する政策(個人住宅や各業種に応じたきめ細かな診断・助言ができるシステム、経済的インセンティブの導入など)
  • 発電などの燃料を石炭から天然ガスへ転換を促す政策(石炭課税強化など)
  • 全部門における「見える化」の推進(工場や事業所の効率分布や建築物の省エネ性能など)
  • 各部門におけるきめ細かな対策を連携させて実施できる、地方自治体の取組みの強化・推進と支援

8月に予定されている中間報告に向けて、本素案を抜本的に見直し、これらの項目を含む実効性のある政策の導入・強化を盛り込むことを強く求める。

以上

問合せ

特定非営利活動法人 気候ネットワーク(東京事務所) 担当:畑?
〒102-0083 東京都千代田区麹町2-7-3半蔵門ウッドフィールド2F?
TEL 03-3263-9210、FAX 03-3263-9463?
E-Mail:?tokyo@kikonet.org