<プレスリリース>
石炭火力発電の最新状況 2基稼動・1基中止・2基停止が明らかに
~条例アセスは一定の歯止めにはなるも、木質バイオマスへのシフトを加速~
2019年2月21日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
気候ネットワークは21日、小規模石炭火力計画に関するレポートをまとめた。今回の調査により、以下に記載したとおり、新たに2基が稼動していることがわかり、さらに2基の計画が停止中、1基が中止となっていることが明らかになった。これにより、2012年以降に把握された日本国内の石炭火力発電所建設計画50基のうち、12基(691.8万kW)が中止・燃料変更ととなり、12基(130万kW)が稼動したこととなった。
本レポートでは、小規模石炭火力計画について、条例による環境アセスメント(条例アセス)があった地域となかった地域では稼動状況に明らかな差が見られ、条例アセスがない地域ではすべて稼動していることを明らかにした。また、条例アセスは、石炭火力発電所の新規計画の実施に一定の歯止めにはなったものの、木質バイオマス化を促すことにもつながっていることを指摘している。木質バイオマス火力については、輸入の場合の輸送にかかるエネルギーの問題、森林伐採による持続可能性の問題、また燃焼した時に排出されるNOxやPM2.5の問題などが石炭よりも増える可能性が指摘されるなど、様々な課題があることをあげ、今後の対応には注視する必要があるとも指摘している。
なお、本レポートでは、秋田県と三重県における2つの計画が停止していることも明らかにしているが、事業者に対しては、パリ協定に基づき、速やかに計画を中止する英断を求めている。
【稼動がわかったもの】
・旭化成エヌエスエネルギーによる延岡発電所 2号発電設備 6万kW
・響灘火力発電所(IDIインフラストラクチャーズ)による響灘火力発電所 11.2万kW
【計画が停止していることがわかったもの】
・日本製紙による日本製紙秋田バイオマス混焼発電事業 11.2万kW
2016年2月に秋田県環境影響評価書の縦覧期間を終えたが、工事着工に入っていない
・MC川尻エネルギーサービス(三菱商事)によるMC川尻エネルギーサービス 11.2万kW
三重県環境アセスメントで、2015年5月に方法書が縦覧された後、次の手続きに進んでいない
【石炭燃料の計画が中止となったことがわかったもの】
・相馬共同自家発開発合同会社による相馬中核工業団地内発電所 11.2万kW
石炭断念と同時に相馬共同自家発開発合同会社は解消し、日本エネルギーパートナーズ株式会社にバイオマス発電事業の検討を引き継ぐ。
レポート(PDF)
小規模石炭火力計画に関するレポート「小規模石炭火力発電計画19基のうち10基が運転開始 条例アセスは一定の歯止めとなるも、バイオマス化を加速」
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