COP24カトヴィツェ会議の結果と評価
~パリ協定の実施指針に合意。IPCC1.5℃特別報告・タラノア対話から、行動強化へ~
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
2018年12月20日
■ COP24カトヴィツェ会議の結果と評価(要約)
- COP24カトヴィツェ会議でパリ協定の実施指針が採択されました。全ての国の参加を前提としつつ、途上国に柔軟性を持たせ、各国が国別約束(NDC)に係る情報を提供し、相互に確認し、行動を引き上げていく仕組みができました。ただし、実施指針のうち、市場メカニズムなど、一部の論点については先送りとなりました。
- COP24で合意されたパリ協定の実施指針に沿って、各国政府は、脱炭素の加速のため、ただちに行動を強化することが求められています。COP24に先立って発表されたIPCC1.5℃特別報告、会期中に開催されたタラノア対話などを通じて、各国政府の現在の排出削減目標を引き上げるべきとのシグナルが出されました。実際、フィジー、マーシャル諸島、カナダ、ノルウェー、ウクライナ等、目標引き上げを宣言する国が出てきています。
- COP24では、気候変動の悪影響に脆弱な途上国が求めていた資金・技術・能力構築の支援について十分な合意はできませんでした。「気候正義」を軸に、日本を始めとする先進国は、国内行動を加速させるのと同時に、資金の増額を含む途上国支援により積極的に取り組まなければなりません。
- COP24では、行動の引き上げにおいて、最も重点を置くべきは脱化石燃料、とりわけ脱石炭の実現であることが示されました。パリ協定のめざす1.5℃目標のため、脱石炭を求める声が多く聞かれるとともに、すでに脱石炭を進めている国・地域では、脱ガス、脱石油へと動き出していることが示されています。その過程で生じる産業構造・雇用機会の変化を見据え、公正な移行(ジャスト・トランジション)の取り組みが必要です。
- パリ協定実施指針に合意すること、行動の強化を促す合意をつくることに対して、日本による目立った貢献やリーダーシップは見られず、存在感はありませんでした。今後日本は、国別約束(NDC)を見直して2020年までに提出する意思を早期に表明し、目標を引き上げる、脱石炭火力発電の方針を長期戦略に位置づけ、途上国支援を強化し、G20で行動強化のシグナルを出す外交努力を見せることが求められます。
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【ペーパー】COP24カトヴィツェ会議の結果と評価(2018/12/20)
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