2012年6月13日
【eシフト声明】エネルギー政策見直しプロセスに対する提言
エネルギー・環境会議への意見
eシフト:脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会
福島第一原発事故を受け、日本は「脱原発依存」を柱に従来のエネルギー政策を見直す転換点に立っています。現在、気候変動政策、エネルギー政策、原子力政策について、それぞれ中央環境審議会・地球環境部会、総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会、原子力委員会・新大綱策定会議で議論され、最終的に閣僚会議であるエネルギー・環境会議で統括するとされています。しかしその議論は、福島原発事故を二度と繰り返さないという大前提に基づいたものとは言えず、エネルギー問題について真剣に考える市民の声を反映させるプロセスも十分ではありません。各議論の場には市民団体からの委員も数名参加していますが、議論が事務局主導で運営されているという課題からも、市民社会の声が十分反映されているとは言えません。
「国民的議論」および今後のプロセスについて、eシフト:脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会は、下記提言します。
(1)場の設定の企画段階から市民の参加を
「国民的議論」に向け、各地でのタウンミーティングを設定する際には、その企画段階から市民を参画させることが求められます。早急に各地の市民や市民団体への呼びかけを検討・開始されることが必要です。
(2)自主的な企画の呼びかけと、その結果の反映方法の確保を
既に各地で、市民がエネルギー政策について考える会合を開催しています。「国民的議論」においては、政府が設定する会合に加えて、これらの自主的な会合での意見集約も、重視して活かしていくことが望まれます。自主的な会合の設定について、開催・報告方法のガイドラインを提示し、そこで出された意見を反映するプロセスを確保することが求められます。
(3)国民投票、アンケート等広く国民の声を聞くことのできるしくみを
タウンミーティングや自主的会合に加え、そうした場に参加できない人も含めて広く国民の声を聞くために、国民投票のような方法やアンケート等の手法も、合わせて導入することが必要です。
(4)国会内での自主的な議論の反映を
現在のプロセスでは、国民を代表する国会議員の意見が聴取・反映される場はありません。また既に国会内において、「国会エネルギー調査会準備会」が発足し、有志議員による議論が始められています。このような国会内での意見についても、参考として考慮するべきです。
(5)自治体に対する意見聴取も
「脱原発依存」を進めていくために、今後のステークホルダーとして重要な自治体等の声も、考慮される必要があります。自治体の長に対しても、アンケート等で意見を聞き、反映させるプロセスを検討する必要があります。
(6)福島原発事故被害の実態を把握するヒアリング等の場の設定を
今回のエネルギー政策見直しは、福島第一原発事故という大惨事を契機としたものであるはずです。しかし、原発維持や従来の政策の延長についても選択肢の原案とされるなど、事故の被害の実情に向き合ったうえでの議論がなされているとは言いがたい状況です。今後、エネルギー政策の見直しの場面においても、原点として福島原発事故の被害の実態を考えるためのヒアリングなどの場を設置することが必要です。
(7)「国民的議論」の十分な時間設定を
夏までの1~2か月程度では、国民的議論の時間は十分とは言えません。今後も、国民の意見を聞き反映する機会や場の設置などについて継続して検討・実施するべきです。
声明
声明本文『エネルギー政策見直しプロセスに対する提言 エネルギー・環境会議への意見』
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