<声明>
パリ協定発効から1年。日本も世界に貢献する道を
2017年11月4日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
11月4日、気候変動に関するパリ協定の発効から1周年を迎えた。脱化石燃料への転換に向けて野心的な目標を掲げ、各国に対策強化を求めるパリ協定に、すでに195の国が署名しており、169の国・地域が締結し、まさに動き出している。また、パリ協定から将来的に離脱すると表明している米トランプ政権には、その方針を撤回し、パリ協定のもとで真摯に脱炭素の取り組みを強化することを、改めて強く求める。日本も、気候変動・エネルギー政策の優先順位をあげ、省エネと再エネを基軸とした脱炭素と脱原発をめざす政策に転換させなければならない。
パリ協定発効から約1年の間には、国内外で様々な気候関連災害があった。今年5月にはパキスタンからインドにかけて記録的な熱波が発生し、パキスタン西部のトゥルバトでは最高気温53.5℃を観測した。8月には米国をハリケーン・ハービーが襲い、テキサス州に甚大な被害をもたらした。日本でも7月に九州北部豪雨、10月に台風21号と22号など、気候の異変に見舞われている。気候の危機は遠い将来ではなく、既に、現在の人々の生命にもかかる問題であることを、今一度、確認したい。
世界では、急速に脱石炭が進み、再生可能エネルギーが拡大している。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2016年において世界で導入された発電設備容量のうち3分の2を再生可能エネルギーが占めており、太陽光発電の導入量は、石炭火力発電の導入量を大きく上回った。再生可能エネルギー100%をめざす事業者等が急増しており、日本からも、リコーや積水ハウスが国際イニシアティブ「RE100」に参加している。交通部門でも、脱ガソリン車を掲げる国が先進国・途上国を問わず広がっている。これらの動きは、気候変動への対応が経済的にみあうものとなり、今後の発展に不可避となっていることを示すものでもある。
日本政府は、パリ協定の実現に向けて中長期の気候変動目標の引き上げ、2050年に向けた長期戦略の検討・策定、カーボンプライシング施策の導入、脱原発方針の設定、石炭火力発電所を始めとする大規模排出源対策を進めるべきである。自治体や企業、市民は、国の動きを待たず、自然エネルギー100%宣言など、率先してパリ協定の目標に向けたアクションに踏み出すことを期待する。
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