パリ協定時代の金融機関の気候変動対策の現状と課題
近畿の地域金融機関による気候変動対策 アンケート調査報告書
2017年11月1日
特定非営利活動法人気候ネットワーク 脱炭素研究会
パリ協定の実現に向けた日本の金融機関の役割と課題を考察することを目的に、近畿二府四県の地域金融機関の気候変動問題への認識、対策状況および今後の取り組み方針について調査し、その現状を分析した。
調査結果のポイント(抜粋)
気候変動問題は深刻であると認識する金融機関が多数であったが、それがパリ協定実施へ貢献するという考えや、その意思の表明、さらなる対策としてのダイベストメントに必ずしも結びついていない実態が明らかになった。とりわけ、パリ協定の採択・発効に前後して世界各地で広がっている化石燃料のダイベストメントについては、その主役であるはずの金融機関においてもあまり知られていないことがわかった。今後は、パリ協定の重要性やダイベストメントの理解を広げ、深めることが重要である。
他方で、気候変動問題を深刻と捉え、パリ協定の実施に貢献する考えをもち、実際にそれを公式に表明するとともに、ダイベストメントの取り組みを検討中と回答した金融機関も1つあった。このことは、日本の金融機関の中にも、パリ協定の意義と自らの社会的責任及び化石燃料への投融資リスクについて認識し、気候変動対策の歴史において画期的なことだといえよう。
石炭火力、原子力、再生可能エネルギー発電事業への投融資状況については、少なくない数の金融機関が「回答できない」と答えている。投融資を通じて社会経済的に大きな影響力を持つ金融機関が、気候変動の大きな原因となる石炭等の化石燃料事業への投融資を続けている可能性も否定できない結果となっている。パリ協定の目標にある「資金の流れを低排出にする」という趣旨からは、再生可能エネルギー発電事業への投融資を今後増やしたいと回答した金融機関が複数あったことは明るい兆しだが、同時に、化石燃料への投融資を減らすことも重要である。…
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