<プレスリリース>
台市が日本初となる石炭火力発電所立地抑制へ
~仙台市の確実な運用と他自治体の追随に期待~
2017年10月17日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
仙台市は、2017年10月16日の仙台市環境影響評価審査会において、今後市内で計画される石炭火力発電所計画に対して、強く自粛を求めていく指針を策定することを明らかにした。策定されれば日本初のものであり、気候ネットワークは仙台市の方針を歓迎し、早期策定を求める。
仙台市には、2015年に仙台パワーステーション(以下、仙台PS。2017年10月1日に営業運転開始)が石炭火力発電所の建設を計画し、続いて2017年には同じ地域に仙台高松発電所(仮)(以下、仙台高松。市の環境アセスメント手続き中)が石炭火力発電所の建設を計画した。市内に石炭火力発電所が乱立する事態を懸念した仙台市は、2016年5月に条例に基づく環境アセスメントの対象を3万kW以上の火力発電に拡大、2017年5月には石炭火力発電についてのみ規模要件を撤廃した。6月には当時の市長が経産省と環境省を訪問し、建設に歯止めをかける仕組みを構築するよう求めている。また、8月に誕生した郡和子新市長は、就任直後に仙台PS周辺の環境影響調査を指示した。今回の指針策定は、こうした流れからさらに一歩踏み出し、石炭火力発電を明確に拒否する意思を示したものであり、住民の健康と環境を守る極めて重要な方針である。
今回の市の対応は、市民の粘り強い活動が結実したものと言える。仙台港の石炭火力発電所計画をめぐっては、「仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会」を中心とする大気汚染による健康被害や生態系への影響、気候変動の影響などを懸念する住民が激しく反発し、環境アセスメントの実施や、建設稼働中止を訴えてきた。仙台PSに対しては約48,000筆の反対署名が集まり、2017年9月27日には近隣住民をはじめとする宮城県民124名が原告となって操業差止めを求めて提訴した。また、隣接する多賀城市・塩釜市・七ヶ浜町の3市町にまたがる反対グループも結成している。仙台PSだけではなく、仙台高松の環境アセスメントには386件の意見が提出された。
このほか、漁業関係者が環境影響調査の要請し、宮城県議会や仙台市議会でも複数の議員がこの問題を追究し、紛糾するなど、各所から批判の声が上がっていた。
この先、市の指針は、環境影響評価審査会での議論を経るが、可能な限り早期に策定し、厳格に運用することが求められる。また、(株)仙台パワーステーションにおいては、今回の方針を事実上の規制と受け止め、仙台港における石炭火力発電所の稼働を止めるべきである。
石炭火力発電所が及ぼす悪影響を鑑みれば、いかなる計画も容認されるべきではない。他の自治体は仙台市に続いて、計画反対の姿勢をはっきりと打ち出すべきである。