<プレスリリース>
化石燃料の時代を終わらせるパリ協定、11月4日に発効
~原発も温暖化もない未来に向けた世界経済の大転換へ~
2016年10月6日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
気候変動に関するパリ協定がその発効要件を満たし、11月4日に発効することが決まった。パリ協定は、地球平均気温上昇を産業革命前に比べて1.5~2℃未満に抑制しようとする世界の挑戦であり、世界の温室効果ガス排出量を今世紀の下半期には実質ゼロにするという目標を掲げている。11月4日以降、パリ協定は、法的効力を持つ国際条約として、化石燃料の時代を早期に終わらせ、自然エネルギーの時代へと転換させる歯車の役割を担うことになる。
世界経済が脱化石燃料に向う歴史的な転換は、すでに始まっている。11月7日に始まるCOP22マラケシュ会議の機会から、パリ協定の実効性を高めるための詳細ルール交渉が開始される。パリ協定のもとで、脱化石に向けて、より確実に、また加速的に進めることができるルールづくりを急ぐべきである。
パリ協定の採択後、1年を待たずにその発効要件を達成したことは、気候変動の危機の深刻さが世界で共有され、原発も温暖化もない未来をめざすべきであるという世界の市民の声の高まりを受けて、気候をまもる決意を示すものである。パリ協定の発効を心から歓迎し、早期発効にリーダーシップを発揮した米中両国に続き、インドやEUなど、国際的な協定発効の気運を盛り上げ、加速させてきた締結済みの国々と地域に敬意を表したい。
科学者によれば、2℃目標達成のためにも、地球上の化石燃料埋蔵量の少なくとも8割を掘り出して燃やすことはできない。化石燃料は座礁資産となり、消費することが許されない時代になるのである。しかしながら、国内にはCO2排出量の多い石炭火力発電の新増設を進めようとするなど、パリ協定の意義を矮小化しようとする人々もわずかにいる。だが、パリ協定とともに加速する世界の脱炭素化の流れのなかで、取り残された存在となっていくであろう。
日本ではパリ協定の位置づけやその締結についての政治的優先順位が低く、いまだ批准の閣議決定もなされず、パリ協定の発効に貢献する機会を逸した。パリ協定を採択したCOP21パリ会議の終盤において、全ての主要排出国の参加を確保すべきであるとして発効要件に「排出割合」を加えることを提案したのは日本であり、その真意が問われよう。日本は、遅くとも11月4日までにパリ協定を締結し、パリ協定発効時の参加国にその名を連ね、パリ協定を実施する意思を示さなければならない。
以上
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【プレスリリース】化石燃料の時代を終わらせるパリ協定、11月4日に発効~原発も温暖化もない未来に向けた世界経済の大転換へ~(2016/10/6)
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