気候ネットワークは、「長期脱炭素電源オークションの第4回募集に向けて(案)」へのパブリック・コメント募集に対して、以下の意見を提出いたしました。
本パブコメで示されている政府案の内容や意見提出の方法については、こちらのパブリック・コメントのウェブサイトをご覧ください。
- 意見の提出方法:ウェブサイトからの入力
- 意見の提出締め切り:2026年8月16日23時59分
意見1 LNG専焼火力の募集継続方針を撤回すべきである
該当箇所
資料8頁
「2.1 長期脱炭素電源オークション」
「(2)第4回入札に向けた制度の見直し」
「②募集量」
「(a)LNG専焼火力」
意見
第4回入札以降もLNG専焼火力の募集を「当面の間」継続する方針を撤回し、LNG専焼火力を長期脱炭素電源オークションの対象から除外すべきである。
理由
LNG専焼火力は、制度開始当初、短期的な需給逼迫に対応するため、3年間限定で募集するとされていた。それを第4回以降も「当面の間」継続することは、制度開始時の説明を実質的に撤回する重大な変更である。
LNG火力は発電時に大量のCO2を排出するだけでなく、天然ガスの採掘、処理、液化、輸送過程においてメタンを排出する。将来の水素・アンモニアやCCSへの転換が確実でない段階でLNG専焼設備を新設し、長期にわたって固定費回収を保証することは、2035年度及び2040年度の温室効果ガス削減目標と整合しない。
「当面の間」という期限のない支援は、例外措置を事実上恒久化するものであり、「長期脱炭素電源オークション」の目的にも反する。
意見2 3,900万~5,500万kWのLNG専焼火力の新設・リプレース方針を撤回すべきである
該当箇所
資料8~9頁
「2.1(2)②(a)LNG専焼火力」
意見
2040年までに3,900万~5,500万kW程度のLNG専焼火力を新設・リプレースし、第4回から7年間で確保する方針を撤回すべきである。
理由
資料では、2040年度までに3,900万~5,500万kW程度のLNG専焼火力を新設・リプレースし、第4回から7年間、年間550万~800万kW程度を募集する方針が示されている。第4回だけでも600万kWが募集される。
これは過去3回の時限的な募集を延長するという程度の変更ではなく、日本の電力供給構造を数十年にわたりLNG依存へ固定する大規模な化石燃料投資政策である。
さらに、第4回のLNG専焼火力の募集量600万kWは、再生可能エネルギー、蓄電池、水力、原子力、脱炭素火力などを含む「脱炭素電源」の募集量500万kWを上回る。「脱炭素」を掲げる制度において、化石燃料を使用するLNG専焼火力の募集量が脱炭素電源全体を上回ることは、制度目的と明らかに矛盾する。
新設LNG火力ではなく、省エネルギー、需要応答、再生可能エネルギー、蓄電池、揚水、長期エネルギー貯蔵、地域間連系線等を優先すべきである。
意見3 電力需要の高位ケースのみを前提としてLNG火力を整備すべきではない
該当箇所
資料8頁
「2.1(2)②(a)LNG専焼火力」
意見
2040年度の電力需要を1兆1,000億kWhとする高需要シナリオを前提に、LNG専焼火力の設備量を決定すべきではない。複数の需要シナリオを用い、需要が下振れした場合を含む感度分析を行うべきである。
理由
資料の脚注で示しているように、資源エネルギー庁の2040年度電力需要見通しには0.9兆~1.1兆kWhの幅がある。それにもかかわらず、LNG火力の整備量の算定では、その上限である1.1兆kWhのケースが用いられている。
データセンターや半導体工場の電力需要には、事業計画の実現時期、設備の省エネ性能、稼働率、立地、需要の柔軟性など大きな不確実性がある。最も需要の大きいケースを所与のものとして、最長30年間支援される化石燃料設備を先行して整備すれば、過剰設備や座礁資産を生む可能性がある。
少なくとも、低位、中位、高位の各需要ケースについて、省エネ、デマンドレスポンス、蓄電池、揚水、連系線、再エネ、既存設備の活用等を組み合わせた費用最小化分析を行う必要がある。
意見4 供給力不足をLNG火力不足と読み替えるべきではない
該当箇所
資料8頁
「2.1(2)②(a)LNG専焼火力」
意見
将来の供給力不足を、そのままLNG専焼火力の必要量として扱うべきではない。電源種や需要側資源を限定しない供給力確保策の比較を行うべきである。
理由
資料に示された1,600万kWの不足は、「火力で補完すると仮定すれば」という条件付きの試算である。これは、LNG専焼火力で不足分を補うことが不可避であることを示すものではない。
ピーク時の供給力であるkWと、年間の電力量であるkWhは区別して検討しなければならない。ピーク時の短時間の不足であれば、蓄電池、揚水、デマンドレスポンス、発動指令電源、地域間連系線、分散型電源、需要の時間移行等で対応できる可能性がある。
LNG火力の新設を先に決めるのではなく、同じ供給信頼度を確保するための各対策について、総費用、建設期間、CO₂排出量、燃料輸入額を比較すべきである。
意見5 LNG基地を支援対象に追加すべきではない
該当箇所
資料22~23頁
「2.1(2)④上限価格」
「(a)LNG専焼」
意見
LNGタンク、桟橋、ローディングアーム等のLNG基地設備を、長期脱炭素電源オークションの支援対象に含めるべきではない。
理由
第4回案では、LNG基地を整備する案件と整備しない案件を区分し、基地を新設する案件には最大9.2万円/kW・年の上限価格を設定する。LNG基地設備の建設費を需要家負担によって回収する仕組みとなる。
これは発電所への支援にとどまらず、LNGの輸入、受入れ及び貯蔵インフラを新設し、化石燃料輸入構造そのものを長期固定化するものである。
LNG基地は数十年間利用される設備であり、再エネ拡大によってLNG需要が減少した場合には座礁資産となるおそれがある。脱炭素を目的とする制度で、新たな化石燃料輸入インフラを整備することは認めるべきではない。
意見6 LNG専焼火力に対する支援条件の大幅な引上げを撤回すべきである
該当箇所
資料16~23頁
「2.1(2)③(c)制度適用期間の上限の設定」
「同(g)LNG専焼とLDESの資本コスト」
「同(h)全電源の資本コスト」
「同④(a)LNG専焼」
資料40~41頁
「同⑤(j)LNG専焼の供給力提供開始期限」
意見
LNG専焼火力について、上限価格、資本コスト及び供給力提供開始期限を一体的に緩和し、事業者の投資回収を手厚くする制度変更を撤回すべきである。
理由
第4回案では、LNG専焼火力の上限価格を第3回の5.5万円/kW・年から、基地整備なしで6.5万円、基地整備ありで9.2万円へ引き上げる。また、供給力提供開始期限の延長や資本コストの引上げが行われ、制度適用期間は一律30年とされる。
さらに、環境影響評価を要する案件などでは、運転開始まで長期間を認める方向が示されている。2030年代後半に運転を開始し、そこから30年間支援される場合、支援が2060年代まで続く可能性がある。
2035年度及び2040年度の削減目標の達成が必要な時期に、新たなLNG専焼火力の建設を容易にするため、価格、期間及び資本コストの全てを緩和することは、気候変動対策に逆行する。
意見7 LNG長期契約を促すための還付額固定化を導入すべきではない
該当箇所
資料48~53頁
「2.1(2)⑤(n)LNG専焼の還付における新たな仕組み」
意見
LNG長期契約の締結を促進することを目的として、他市場収益の還付額を事前に固定する仕組みを導入すべきではない。
理由
現行制度では、落札電源の固定費を支援する一方、実際に得られた他市場収益の約9割を還付させている。第4回案では、LNGの長期契約を確保しやすくするため、過去の市場収益に基づいて還付額を事前に固定する選択肢が検討されている。資料では8,000円/kW・年という案が示されているが、委員からも妥当性を判断する材料が不十分との意見が出され、検討継続とされている。
固定額を超える利益を事業者に残す仕組みは、事業者をLNG長期契約へ誘導し、燃料調達と発電設備の双方を長期間固定化する。
また、長期契約には引取義務や余剰LNGの処分リスクが伴い、再エネが増加しても契約数量を消化するためにLNG火力を稼働させる圧力が生じる。制度が化石燃料の長期利用を促進することになりかねない。
意見8 脱炭素電源の募集量を500万kWに据え置くべきではない
該当箇所
資料9頁
「2.1(2)②(b)脱炭素電源」
意見
LNG専焼火力を600万kW募集する一方、脱炭素電源の募集量を500万kWに据え置く方針を撤回し、LNG専焼火力の募集を廃止した上で、再エネ、蓄電池、揚水及びLDES等の募集量を拡大すべきである。
理由
資料では、約1.2億kWの化石電源を20年程度で脱炭素電源に置き換えるためには、年平均約600万kWの導入が必要と説明している。それにもかかわらず、第4回の脱炭素電源の募集量は500万kWに据え置かれている。
また、第4回には、すでに海洋再エネ整備法の公募で選定された洋上風力6案件、期待容量約70万kWが参加する可能性がある。これらが500万kWの枠に含まれれば、新たに追加される脱炭素電源は実質的にさらに少なくなる。
化石燃料電源の募集量が脱炭素電源の募集量を上回る配分は、本制度の目的に反している。
意見9 蓄電池、揚水及びLDESの落札量を120万kWに抑制すべきではない
該当箇所
資料10~11頁
「2.1(2)②(c)募集上限」
「<蓄電池・揚水・LDES>」
意見
蓄電池、揚水及びLDESについて、それぞれ40万kW、合計120万kWの募集上限を設定し、上限を超える追加落札を認めない方針を撤回すべきである。
理由
第1回の蓄電池・揚水等の落札量は166.9万kW(応札量:約388万kW)、第2回は173.1万kW(応札量:約517万kW)、第3回は170万kW(応札量:約586万kW)であった。 毎回、入札総量は募集枠を大幅に上回っており、事業者からの需要は極めて高い。 ところが第4回では、リチウムイオン蓄電池、非リチウムイオン蓄電池、揚水・LDESの各40万kW、合計120万kWを上限とし、追加落札を認めないとしている。
蓄電池や長期エネルギー貯蔵は、変動型再エネを大量導入するために不可欠である。系統接続申込みが増えているからといって落札量を抑制するのではなく、系統接続ルール、立地誘導、系統増強を改善することこそが求められており、それこそが真の「脱炭素」への道である。
LNG専焼火力を600万kW募集しながら、再エネ拡大を支える貯蔵設備を120万kWに抑える政策は、優先順位が逆転している。
意見10 再生可能エネルギーだけを制度適用期間20年に限定すべきではない
該当箇所
資料16~17頁
「2.1(2)③(c)制度適用期間の上限の設定」
「同(d)再エネの制度適用期間」
意見
太陽光、風力、地熱及びバイオマスの制度適用期間を一律20年に限定する一方、LNG専焼火力等に30年を認める制度設計を見直すべきである。
理由
第4回案では、再エネの制度適用期間を20年に限定する一方、LNG専焼、一般水力、揚水、原子力等には最長30年(案件によっては最長40年)を認め、電源によって適用期間が混在している。制度適用期間の違いが価格競争に与える影響については、入札後に検証するとされている。
支援対象期間が長ければ、建設費等の投資回収を長期間に分散できるため、1年当たりの応札価格(単価)を低く見せることが可能になり、評価上有利に働く。さらに、入札において十分な価格競争が働かず上限価格付近で落札された場合、適用期間が長い電源ほど事業者が受け取る支援総額(=電気料金等を通じた国民負担総額)が大幅に増加・膨張する構造となっている。
このように「見かけ上の単価比較による評価の歪み」と「国民負担総額の上振れ」を招く制度設計のまま入札を実施し、事後検証に委ねることは不適切である。全案件について同一評価期間・同一条件での支援総額の現在価値(NPV)を算定するなど、公平に比較・評価する仕組みを入札前に導入すべきである。
意見11 水素・アンモニア混焼及びCCS付き火力の専用枠を廃止すべきである
該当箇所
資料11~12頁
「2.1(2)②(c)募集上限」
「<脱炭素火力>」
意見
水素・アンモニアの専焼・混焼、CCS付き火力及び既設火力改修を対象とする「脱炭素火力」の50万kWの募集上限を廃止し、再エネ、蓄電池、揚水、LDES等へ振り替えるべきである。
理由
水素・アンモニア発電の対象は本来、製造工程でもCO₂を排出しない「グリーン水素・アンモニア」に限定されるべきである。しかし、現状は価格が極めて高く価格競争力が皆無であり、公的支援の対象から排除されるべきである。
一方で、現状想定される「ブルー水素・アンモニア」等の混焼利用や排出されるCO2の一部分を改修するCCSでは、既存の化石燃料火力を延命・温存させることにつながり、将来にわたって火力発電による温室効果ガスの排出構造を固定化(ロックイン)させる重大な懸念がある。
さらに、第3回オークションでは脱炭素火力の上限価格が13万〜79万円/kW・年という高水準(20万円/kW・年を大幅に上回る)であったにもかかわらず、専用枠が設定されているために高額な案件であっても落札された。第4回でも高額な上限価格のまま枠が維持されている。
このような構造的・費用対効果的に問題を抱える「脱炭素火力」に優先枠を設けることは、不当に需要家負担を増大させるだけでなく、限られた募集量の中で再エネや蓄電池、揚水などの真に脱炭素に資する電源の落札余地を直接的に奪うものである。したがって、水素・アンモニア混焼等の専用枠は即刻廃止すべきである。
意見12 低い混焼率の火力を「脱炭素電源」として支援すべきではない
該当箇所
資料31~35頁
「2.1(2)⑤(a)既設火力の改修案件の他市場収益の計算方法」
「同(b)CCSのCO₂回収率の定義の見直し」
意見
水素・アンモニアの混焼部分だけを脱炭素容量として認定し、発電所全体の固定費や改修費を支援する仕組みを見直すべきである。発電所全体の排出原単位及び年間排出量に基づく要件を設定すべきである。
理由
例えば20%混焼の場合、発電所全体の約80%は引き続きLNG又は石炭を燃焼する。混焼部分だけを「脱炭素kW」として扱っても、発電所全体では大量のCO₂排出が継続する。
混焼設備への支援は、既設火力の運転期間を延長し、燃料受入設備、ボイラー、タービン等の化石燃料設備全体を延命することにつながる。
設備上の混焼率だけではなく、発電所全体について、年間CO₂排出量、排出原単位、化石燃料使用量の削減をリクワイアメントとして設定すべきである。
意見13 水素・アンモニア・CCSの海外物価上昇リスクを需要家に転嫁すべきではない
該当箇所
資料14~16頁
「2.1(2)③(b)水素・アンモニア・CCSの価格競争の在り方」
意見
水素・アンモニア・CCSについて、海外の消費者物価指数、生産者物価指数等による将来の価格上昇を自動的に支援額へ反映する仕組みを導入すべきではない。
理由
第4回案では、水素・アンモニアやCCSの調達国・事業実施国の物価上昇を、制度適用期間中の可変費支援や入札時の価格評価に反映する考え方が示されている。
これは、燃料費、輸送費、CO₂輸送・貯留費の上昇リスクを事業者から需要家へ移転する仕組みである。一方、再エネは運転時の燃料費を必要とせず、海外の燃料価格や地政学リスクの影響を受けにくい。
輸入燃料を利用する電源の価格上昇リスクを公的制度で吸収すれば、再エネとの競争条件が歪められる。価格変動リスクも含めて事業者が負担し、応札価格に反映させるべきである。
意見14 CCSのCO₂回収率の定義変更を行うべきではない
該当箇所
資料34~35頁
「2.1(2)⑤(b)CCSのCO₂回収率の定義の見直し」
意見
CCSのCO₂回収率を、定格出力時のCO₂発生量に対する回収量から、想定年間CO₂発生量に対する想定年間回収量へ変更することに反対する。
理由
前提として、現行制度におけるCCSのCO₂回収率の基準(20%など)は、脱炭素化の観点から極めて低く不十分である。このような低い目標値にとどまっていること自体が問題であるにもかかわらず、評価基準を「定格出力時」から「想定年間」へと変更することは、CCS付き火力発電に対するさらなる優遇に他ならない。
第4回案では、CCS設備の能力を最大限活用することを理由に年間ベースへの変更が示されているが、想定年間値に基づく評価は、事業者の発電計画や運用パターンの仮定によって認定される回収率が操作されやすく、実質的に支援対象となる可変費(kWh)を不当に拡大させる懸念がある。
また、分離回収率は輸送、圧入及び長期貯留まで含む正味の削減率ではない。CCS設備稼働に伴う発電効率の低下、追加燃料消費、上流におけるメタン排出、輸送・貯留時の漏えいリスクも含め、ライフサイクル全体の正味削減量を厳格に評価すべきである。したがって、評価基準を実質的に緩和し支援枠を広げる定義変更は行うべきではない。
意見15 脱炭素化ロードマップに拘束力のある中間目標と未達時措置を設けるべきである
該当箇所
資料39~40頁
「2.1(2)⑤(h)脱炭素化ロードマップにおける燃料の扱い」
「同(i)水素・アンモニア・CCSの落札後の市場退出」
意見
LNG専焼火力及び脱炭素火力の脱炭素化ロードマップについて、2030年、2035年及び2040年の中間目標を設定し、未達の場合には支援停止、契約解除及び支援額返還を行う仕組みを設けるべきである。
理由
前提として、低炭素水素・アンモニアの供給量、価格、インフラ整備、技術的実現可能性には極めて大きな不確実性がある。実質的に脱炭素化が担保されていない化石燃料火力の延命計画(ロードマップ)に依存する電源は、本来オークションの支援対象から最初から除外されるべきである。
資料では、LNG専焼火力を含む落札案件について2050年までに低炭素水素・アンモニア等へ転換する道筋を示すことを求めているが、単に将来の計画を提出させるだけでは実際の転換を一切保証できない。
仮にこうした案件を対象に含めるのであれば、少なくとも各年の排出原単位、年間排出量、化石燃料使用量、燃料転換率について拘束力のある中間目標を設定すべきである。そして、未達時には容量収入の減額、支援停止、契約解除、および受領済み支援の返還を義務付ける厳格なペナルティを課さなければ、制度としての実効性は保てない。
意見16 一般木質及び液体バイオマスを支援対象へ戻すべきではない
該当箇所
資料7~8頁
「2.1(2)①(b)バイオマス」
意見
一般木質バイオマス、農産物の収穫に伴って生じる固体燃料及びバイオマス液体燃料を、第4回入札の支援対象から除外すべきである。
理由
制度検討作業部会の第22次中間取りまとめでは、一般木質等及び液体燃料について、2026年度以降FIT・FIPの対象外となることや、将来の自立化及び持続可能性の問題を踏まえ、第4回から除外する方針が示されていた。
ところが第4回案では、他電源との価格競争に劣後しなければ支援対象にするとの理由で、除外方針を撤回している。
FIT・FIPで支援対象外とした電源を別制度で再び支援することは、政策の一貫性を欠く。燃料輸入への依存や持続可能性に問題のあるバイオマスを、長期支援の対象へ戻すべきではない。
意見17 価格だけでバイオマスの気候影響及び持続可能性を判断すべきではない
該当箇所
資料7~8頁
「2.1(2)①(b)バイオマス」
資料28~30頁
「同④(d)バイオマスの上限価格」
「同(e)第4回入札の上限価格」
意見
一般木質及び液体バイオマスについて、他電源との価格競争に勝てるかどうかだけで支援対象を決定すべきではない。
理由
バイオマス発電の気候影響は、1kW当たりの応札価格だけでは評価できない。
木質燃料の燃焼時にはCO₂が排出され、森林が再生して炭素を再吸収するまでには長い時間を要する。また、森林炭素蓄積の減少、土地利用変化、木質ペレットの製造、乾燥、加工及び国際輸送に伴う排出、原料生産地の生態系及び人権への影響も考慮する必要がある。
価格競争に勝ったことは、気候変動対策として有効であることを意味しない。原料種、原産地、森林炭素、土地利用変化及び輸送を含む厳格なライフサイクル排出基準を設定し、基準を満たさない燃料は対象外とすべきである。
意見18 LNG火力大量新設による気候影響評価を実施すべきである
該当箇所
資料8~9頁
「2.1(2)②(a)LNG専焼火力」
資料39~40頁
「同⑤(h)脱炭素化ロードマップにおける燃料の扱い」
意見
3,900万~5,500万kWのLNG専焼火力を新設・リプレースした場合の温室効果ガス排出量を算定し、2030年度、2035年度、2040年度及び2050年カーボンニュートラルとの整合性を検証すべきである。
理由
前提として、LNG火力の新設や大型リプレースは、今後数十年間にわたり化石燃料への依存と温室効果ガスの大量排出を固定化(ロックイン)させるものであり、そもそも「長期脱炭素電源オークション」の支援対象から除外すべきである。
しかし、仮に支援対象に含まれるのであれば、膨大な国民負担を伴って3,900万〜5,500万kWものLNG火力を整備・維持することによる気候変動への影響を厳格に評価しなければならない。
現在の事務局資料には、大量のLNG火力整備に伴う以下の基本データが示されていない。
- 想定年間発電量
- 想定設備利用率
- LNG消費量
- 発電時のCO₂排出量
- 上流のメタンを含むライフサイクル排出量
- 日本の温室効果ガス削減目標に与える影響
- 再エネの市場参入及び出力抑制への影響
- 燃料転換又はCCSが実現しなかった場合の排出量
将来の燃料転換を前提とするだけでなく、LNG専焼が継続するケース、燃料転換が遅延するケース、CCSが実現しないケースについて感度分析を行うべきである。
意見19 落札事業者、落札価格及び支援総額に関する情報を案件ごとに開示すべきである
該当箇所
資料全体
特に、資料9~12頁「②募集量・募集上限」
資料13~30頁「③入札価格の在り方・④上限価格」
資料48~53頁「⑤(n)LNG専焼の還付における新たな仕組み」
意見
長期脱炭素電源オークションの落札結果について、落札事業者名、発電所名、所在地、電源種、落札容量、応札価格・落札価格、制度適用期間、運転開始予定時期、想定される容量収入及び支援総額、他市場収益の還付方法等を、案件ごとに公表すべきである。
また、営業上の秘密を理由に情報を非開示とする場合も、非開示の対象と理由を限定し、需要家負担や政策効果を検証するために必要な情報は原則として公開すべきである。
理由
長期脱炭素電源オークションでは、落札された電源種別や容量など一定の集計情報は公表されているものの、個別案件の応札価格・落札価格、落札事業者、想定される支援額など、制度の費用対効果を検証するために必要な情報がほとんど開示されていない。
本制度の費用は、容量拠出金等を通じて最終的に電力需要家が長期間負担する。特に第4回案では、LNG専焼火力について最大9.2万円/kW・年の上限価格を設定し、制度適用期間として30年を認めるほか、LNG基地の建設費や長期燃料契約を支える仕組みまで検討している。個別案件の価格と支援期間が公表されなければ、どの事業者に、どのような設備を対象として、総額いくらの支援が行われるのかを国民及び需要家が把握できない。
再生可能エネルギーのFIT・FIP制度では、認定された発電設備について、事業者名、設備所在地、発電出力、電源種などの情報が公表され、制度の実施状況を外部から確認できる仕組みが設けられている。長期脱炭素電源オークションについても、需要家負担によって長期間の収入を保証する以上、少なくとも同程度以上の透明性が必要である。
落札価格を公表しなければ、同じ電源種の案件間で価格競争が十分に働いたのか、上限価格に近い高額案件が落札されていないか、過去の募集回と比較して費用が上昇していないかを検証できない。
事業者間の競争を理由に落札価格を非公開とすることは適切ではない。入札終了後の落札価格を公開することは、今回の競争を阻害するものではなく、むしろ次回以降の応札価格の適正化や、過大な支援の抑制につながる。公共調達や再エネ支援制度と同様に、公的負担を伴う制度には結果に対する説明責任が求められる。
さらに、電源別の平均落札価格だけでは、極端に高い案件と低い案件が平均化され、個別案件の妥当性を確認できない。集計値だけでなく、案件単位の情報を公開する必要がある。
長期脱炭素電源オークションは、一度落札されれば20年、30年又は40年にわたり需要家負担を発生させる可能性のある制度である。これほど長期かつ大規模な公的支援について、受益者と価格が明らかにされないことは、制度の透明性、説明責任及び社会的信頼を著しく損なう。
したがって、第4回募集の実施前に情報公開方針を改め、落札後速やかに案件別の価格及び事業者情報を公開するとともに、毎年度、実際の支払額、他市場収益の還付額、発電実績、排出実績及び脱炭素化の進捗を公表する仕組みを設けるべきである。
参考
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