沖縄電力は、牧港火力発電所に天然ガス火力を新設する計画を進めるため、計画段階環境配慮書を公表しました。気候ネットワークはこの計画に対して、以下の通り意見書を提出します。
- 沖縄電力プレスリリース:https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/news_release/2025/260226_1.pdf
- 配慮書:https://www.okiden.co.jp/environment/ourecoact/preserve-nature/makiminato.html
意見書〆切:3月30日(月) 【※当日消印有効】
計画の概要
- 13万kWの天然ガス火力を新設する計画
- 将来的にはアンモニア等の燃焼にも対応可能な設備仕様とするとのことだが、詳細は不明
- 重油9号機が老朽化していることを踏まえた新設であるものの、重油9号機を廃止するかどうかは明らかになっていない
- 離島という状況だからこそ、燃料輸入に頼らないエネルギー供給を優先して検討すべき
科学的観点からみれば、化石燃料インフラの新規建設の余地は全くない
沖縄という特殊な状況で再エネ調整のための柔軟性が必要となることは理解はするが、沖縄地方が深刻な気候変動の影響を受けていること、カーボンバジェットを考慮すれば、化石燃料インフラを新設する余裕は全くない。天然ガス火力の新設は中止し、再生可能エネルギーの増設など持続性の高いエネルギー供給の提供も踏まえて計画を再考することを求める。
IPCC第6次評価報告書第3作業部会報告書(2022年4月公開)は、既存の化石燃料インフラが耐用期間中に排出する累積のCO2総排出量を6600億トンと予測していた。報告書作成時点で計画されていた化石燃料インフラからの累積総排出量を加えると8500億トンだったが、現在はさらに増加していると見られる。すでに同報告書で地球温暖化を50%の確率で1.5℃に抑える限度として示されたCO2の累積総排出量5000億トンを大きく上回っており、実際、2025年の世界の平均気温は産業革命前の水準に比べて1.43度高かったことが報告されている。
重油9号機が40年以上の運用を経ていることを踏まえ今回の新設に至るのであれば、重油9号機の廃止時期も明らかにすることで、ガスタービンの新設によって温室効果ガス排出が純増となることを避けるべきである。
アンモニア対応可能としても、カーボンニュートラルに資するとは言えない
「将来的なクリーン燃料(アンモニア等)の燃焼にも対応可能な設備仕様とする計画」としているが、具体的計画は示されていないにもかかわらず「2050年カーボンニュートラルの実現に資するゼロエミッション火力発電へのトランジション(移行)に寄与するとの当社のこうした取り組みは、脱炭素社会の実現に向けた国の戦略に整合する」とするのは見せかけに過ぎない。
現状LNG火力へは水素を混焼する方法が検討されており、そんな中で本事業がむしろアンモニア混焼への道を示す背景としては、国際的に水素調達が難しくなってきていることなどが考えられる。しかし、LNG火力へのアンモニア混焼は、商業プラントにおいて実証されておらず、実効性が乏しい上、将来のクリーンアンモニアの調達にも不透明感がある。
また、排出削減をするにはクリーンアンモニアの混焼が不可欠だが、現在アンモニアは主に化石燃料から製造されており、温室効果ガスを大量に排出している。ブルーアンモニアの場合でも、炭素回収・貯留(CCS)の経済合理性や排出削減策としての実現性が乏しいことが国内外から広く問題視され、批判されている。「ゼロエミッション火力発電へのトランジション」などを掲げるからには、アンモニアの混焼計画および将来的な調達の見通しを計画段階から明らかにしておくべきではないか。
離島だからこそ、重油とは貯蔵方法も異なるLNGに燃料転換する場合は燃料の確保や保存も踏まえたより具体的な計画が求められる。エネルギーの安定供給を考えるのであれば、なおさら地産地消の再生可能エネルギーの拡大を目指す必要がある。さらに、アンモニア燃料の利用を予定しているのであれば、漏洩のリスクによる近隣住民への健康影響も踏まえ、地域住民に詳細な情報提供することを求める。
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