2024年、世界の平均気温は産業革命前と比較して初めて1.5℃を超え、日本国内でも豪雨や豪雪、山火事などの気象災害が相次いでいます。こうした気候危機を回避するためには、再生可能エネルギーの大幅導入をはじめとする気候変動対策の強化が不可欠です。
一方、2050年二酸化炭素排出実質ゼロを表明した自治体は1,188自治体(2025年9月30日時点)に達し、地域単位での脱炭素の取り組みは、気候変動対策にとどまらず、地域経済や住民の暮らしやすさの改善にもつながる可能性を持っています。しかし、多くの地方公共団体が単独で専門人材や予算を確保することは極めて困難です。そこでノウハウの共有や効率的な対策実施のためにも、「脱炭素型の地域づくりのための中間支援組織」への期待が高まっています。2024年5月に閣議決定された第六次環境基本計画においても、中間支援体制の構築に向けた検討を行うことが明記されました。
しかし、日本ではこうした中間支援組織に関する議論は始まったばかりで、統一されたイメージはまだ存在しません。本冊子は、その議論を活性化させるために作成された「論点整理」です。
内容は、全国各地で脱炭素地域づくり分野の中間支援活動に取り組む・関心を有する有志が集まる「脱炭素地域づくり推進のための中間支援交流フォーラム」(第1回:2023年11月・京都市、第2回:2024年5月・長浜市)での議論と、欧州の先進事例調査、企画チームでの検討を元にまとめました。
日本における中間支援組織のあり方についての議論の出発点として、地域脱炭素の推進に関わる自治体職員、中間支援組織関係者、研究者の方など、幅広い皆様にご一読いただければ幸いです。

発行:気候ネットワーク(2025年11月)
編集:脱炭素地域づくり推進に向けた中間支援交流フォーラム企画チーム
※本冊子は真如苑の寄付により作成・印刷されています。
主な構成
- 脱炭素地域づくりの現場が抱える課題
地域における優先度・認識の低さ、再エネ開発に対するネガティブなイメージ、ノウハウ・情報・人材の不足など、現場が直面する構造的な問題を整理。 - 中間支援「組織」の必要性
基礎自治体の役割と支援体制の必要性、民間コンサルや専門家派遣制度、都道府県・環境省地方環境事務所では代替できない理由を検討。 - 中間支援組織の機能・活動
調査研究・政策提言、自治体政策プロセス伴走支援、相談・助言、事業形成支援、ネットワーク形成・コーディネート、住民参加・合意形成支援、教育・人材育成、普及啓発の8分野にわたる想定される活動を、具体例とともに紹介。 - 求められる組織・体制
地域性・継続性・中立性・公益性・独立性といった立ち位置や、都道府県・自治体の関与のあり方、多様な専門組織との連携、人員体制・担い手の育成について整理。欧州のエネルギー・エージェンシー(EU域内426組織、2014年時点)やオーストリアのエネルギー研究所フォアアールベルクの事例も参考として掲載。 - 国、都道府県、市町村への提案
中間支援組織の整備・強化に向けて、それぞれの主体に求められる取り組みを提言。 - 今後に向けて
全国レベルのネットワーク形成や提言活動など、今後の展望を提示。


