本レポートは、昨今「カーボンリサイクル」の手段として注目される「合成メタン」の問題点を解説し、「水素社会推進法」などにより国からの多大な財政的支援を受けることの問題について示したものです。

現在、2050 年カーボンニュートラルに向けて合成メタンを都市ガスへ注入することが検討されていますが、合成メタンには、製造時のCO2排出、利用時のCO2回収の難しさ、コストの高さ、技術開発にかかる時間、エネルギー安全保障の阻害など様々な問題があります。

価格差補填などのための「水素社会推進法」の対象に合成メタンを加えるなど、日本は合成メタンを積極的に推進する姿勢を示しています。気候変動問題の緩和に向け、一刻も早い化石燃料からの脱却が求められている中で合成メタンを支援してしまえば、CO₂ 多排出事業者は「カーボンリサイクル」を名目に抜本的なCO₂ 排出削減努力をおろそかにする可能性があり、かえって気候変動への脅威となる恐れがあります。合成メタンを「脱炭素」「カーボンニュートラル」と喧伝することはグリーンウォッシュにあたります。気候変動対策として効果の少ないこの技術に、貴重な費用・資源・人材・制度整備の労力を割く程の価値が本当にあるのでしょうか。

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【ポジションペーパー】合成メタンはグリーンウォッシュ:1.5℃目標に整合せず、ふくらむ国民負担(2024年10月発行/A4判/9ページ)

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