ダーバン会議:気候ネットワーク声明
~京都議定書を生かした次の法的文書づくりに合意~

2011年12月11日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク

【南アフリカ・ダーバン】11日、ダーバン会議(COP17/CMP7)は、会期を延長した末、バリ行動計画(COP13)に基づいて現在進められている交渉を来年のCOP18までに終え、「議定書もしくは法的文書、法的成果」を2015年までに作ることを決め、閉幕した。

 また京都議定書については、2013年から第2約束期間を始めることを決めた。対象ガスや適用するルール、先進国の排出削減数値目標、第2約束期間の終了年を、COP18までに決定し採択することが目指されることになった。 さらに、先進国・途上国の緩和行動の具体化、緑の気候基金、適応委員会、技術執行委員会などにおいても、一定の進展があった。

 ダーバンでのパッケージ合意は、京都議定書の仕組みを維持し、機能させながら、その先の包括的な法的枠組みを強化していくことを決めたことを意味する。京都議定書の第2約束期間の合意がなければ、新たな議定書(法的文書)作りの合意もなかっただろう。混迷する交渉の中で生み出された今回の合意によって、次のステップが明確になり、世界の市民社会の希望をかろうじてつないだものと言える。

 一方で、交渉の遅れ、それに伴う対策の遅れは著しいと言わざるを得ない。気温上昇を2度未満に抑えるためには、今後の交渉を相当にスピードアップさせ、同時に、各国の行動レベルを引き上げる必要がある。

 ダーバンでの日本政府の方針は「京都議定書第2約束期間不参加」であり、現存する唯一の法的拘束力ある枠組みを否定し、離れていくというものだった。このポジションは堅く、他国からみて交渉の余地のない国、交渉に値しないアクターになってしまった。途上国を説得する代替案もなく、地球温暖化対策基本法案も宙に浮いた状態で「京都不参加」を繰り返すばかりの日本政府は「全ての主要国が参加する枠組み」に貢献することはできなかった。日本の環境外交の見通しは暗い。

 今後世界は、京都議定書の第2約束期間の実施を基礎に、より良い、効果的な次期枠組みをつくっていくことになる。この世界的潮流の中で、日本が引き続き京都不参加に固執することは、「フリーライダー(ただ乗り)」の道を選ぶことを意味する。国際社会の中での信頼低下、国内の低炭素化と持続可能な社会への転換の遅れ、それによる経済や雇用への悪影響など、負の効果をもたらすだろう。

 今回の合意を受け、日本は、今一度、方針を見直すべきである。そして、先進国の責任としてより高い削減目標を掲げ、それを実現する国内法と政策措置を備え、京都議定書の下で目標を掲げる準備をするべきである。それが今後の、包括的で効果的な法的枠組みの成功を実現することに大きく貢献することになる。

 

ダーバン会議:気候ネットワーク声明

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