<プレスリリース>

「大阪ガス、茨城県での石炭火力発電所新設計画断念」を歓迎

2015年12月21日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

 12月20日、大阪ガスが茨城県で進めていた石炭火力発電所の新設計画から撤退する方針を固めたとの報道があった。今月12日にCOP21で「パリ協定」が合意され、CO2排出がとりわけ多い石炭への投資を引き上げていく動きが世界で加速する中、今回報道のあった計画断念は、まさに世界の潮流にもかなっている。この決断を歓迎し、敬意を表したい。

 この計画は10万kWの環境アセスメント対象外の小規模火力発電所で、丸紅との共同事業で約300億円を投じ、2017~18年度の稼働を目指した計画だった。報道によれば、大阪ガスは温室効果ガスの排出を減らすための環境対応への投資がかさむことなど採算性がないことを見込んで断念したとのことだが、一方の丸紅では新しい協力先を探しつつ、発電所建設の是非を検討するとされている。丸紅にも撤退の英断を求めたい。

 また、大阪ガスは、電源開発や宇部興産とともに山口宇部パワー株式会社を設立し、山口県宇部市に120万kW級の石炭火力発電所「西沖の山発電所(仮称)」の建設を計画している。環境アセスメントにおいては、環境大臣から「是認しがたい」との意見が提出されている案件である。この計画もあわせて撤退の決断を求めたい。

 気候ネットワークは、石炭火力発電所の動向を2012年からウォッチしてきた。これまでに国内で約48基の石炭火力発電所の新設計画の情報を得てきている。来年の電力自由化を見越して急増する石炭火力計画だが、このままいけば、新設分だけで日本の温室効果ガス排出の約1割を占める量が排出されることとなる。気候変動へのインパクトが大きく、「脱石炭」の世界の流れにも大きく逆行するものである。

 今回の大阪ガスの「石炭新設撤退」の動きは、気候ネットワークのかねてからの警告と要請にこたえるものである。この動きが端緒となって、事業者にとって“座礁資産”となりかねない石炭火力発電所の新設計画からの撤退の判断が広がっていくことが期待される。

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【プレスリリース】「大阪ガス、茨城県での石炭火力発電所新設計画断念」を歓迎?(2015/12/21) 

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参考

◯石炭発電所新設ウォッチ http://sekitan.jp/plant-map/
◯日経新聞:大ガス、火力発電新設を断念 大型計画続き採算難に(2015年12月20日配信)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ19H5W_Z11C15A2MM8000/?dg=1

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