COP20リマ会議閉幕にあたって
2015年パリ合意へ向け、国別目標案の提出方法を決定

特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

本日14日、ペルーの首都リマにて国連気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)が閉幕した。来年のフランスのパリで開催されるCOP21における新枠組みの合意に向け、リマでは、2020年以降の温暖化対策の国別目標案(INDCs)を提出する際に合わせて出す情報を決め、各国の目標案の総合的な効果について統合報告書をつくることを決定した。2015年パリ合意の実現に向けて、各国が国内準備を進めていくための決定ができたと言える。

今回の会議は、パリ合意への通過点でありながら、先進国と途上国がそれぞれの責任を果たしながらも共に行動していくためにどのような枠組みを作るのかを決める前哨戦であり、難しい交渉であった。決定文書では、多くの妥協がなされ、各国の目標案が2℃目標と照らして意欲的で公平なものであるかを評価するプロセスが大幅に弱まったことなどは残念だ。

EU、米国、中国の2020年以降の温室効果ガス排出削減の新目標の発表や、途上国支援のための「緑の気候基金」に合計100億ドルを拠出する意思が日本を含む多くの国の政府から表明されたことなどは、9月の国連気候サミット以降の政治的な気運の高まりを表している。リマ会議を必ず成功させるという、議長国ペルーの強い政治的意思もあった。パリ合意の成功に向け、国際的な気運をより高めていくべきだ。

一方、温暖化対策の目標や方針を持たない日本は、ここリマで、NGOのみならず、潘基文国連事務総長、COP21議長国であるフランスなどから、早期に意欲的な目標案提出を求められることとなった。また、「温暖化対策のため」と言い国内外でCO2の大排出源である石炭火力発電を拡大させる日本政府に対し、大きな批判が集まった。

リマでの合意により、各国は2015年3月31日の期限までに国別目標案を提出するために、自国で何を準備し、何を検討する必要があるのかが明らかになった。パリ会議に向けた国内準備が全く整っていない日本は、2020年以降の目標と政策の検討を加速させ、期限に間に合うよう意欲的な目標案を提示できるようにする必要がある。先進国である日本が来年3月までに意欲的な目標案を提出し、リードすることでこそ、他の途上国の行動を促すことになる。

そのために、日本政府は、脱原発と脱化石燃料の両立のビジョンを描き、省エネルギーを抜本的に強化し、再生可能エネルギーの普及をより一層後押しすることが必要である。14日の選挙によって誕生する新政権は、この課題に対し、政策課題の優先順位をあげて取り組む必要がある。

 

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