2001年7月2日
小泉首相の京都議定書を巡る米国での発言へのコメント
小泉首相は京都議定書を死に追いやるのか?
もはや最後のチャンス、一刻も早く日本の批准を表明せよ!
気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵
小泉純一郎首相がブッシュ米大統領との首脳会談を終えた。京都議定書問題で小泉首相から前向きな発言はなく、むしろ後退が見られ環境NGOとして大変憂慮している。
首相は「現在のところアメリカの協力抜きで(議定書批准の)手続きを進めるつもりはない」と述べた上で、日米高級協議の場を設けるとともに、アメリカとEUの仲介を行うとしている。しかしアメリカが議定書不参加を固持している現状で、日本に先行批准の意思がないままこのような協議を始めるならば、それは議定書を死に近づけることになる。
首脳会談後の小泉首相の発言は、複数のマスコミから、議定書修正(すなわち中身の後退)を示唆した発言と受け取れられている。また米マスコミ(ワシントンポスト紙など)では、ブッシュ大統領に取り込まれ京都議定書の死文化を進めたと受け取られている。このように受け取られる発言を行ったことは、極めて遺憾である。
小泉首相の発言は相変わらず曖昧であるが、「議定書擁護」から「日米同調」へ軸足を移したと見られても仕方のないものである。
国内でも、平沼経済産業大臣が議定書修正(中身の後退)に言及したのに始まり、本日2日、福田官房長官が「日本が自ら京都議定書の修正を検討しても問題ない」と発言した。さらに、政府・自民党には、目標値・目標年・基準年など京都議定書の根幹を揺るがす改変を考えている向きがあると報道されている。それはもはや「京都議定書」とは言えず、到底認めることはできない。
京都議定書の危機は一層深刻化している。もはや猶予の時間はない。小泉首相が一刻も早く日本の批准を表明するよう改めて強く求める。また議定書の中身を後退させないよう改めて強く求める。名誉挽回のために首相に残された時間はほとんどない。
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