2007年08月10日
抜本的な対策の導入を先送りしてはならない!
中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会地球環境小委員会合同会合
中間報告(案)について
気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
本日8月10日に開催された中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会第21回合同会合において、「京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告(案)」が提示された。 残念ながら、目標達成を担保する案とはいえず、地球温暖化対策の緊急性が感じられない。
先に私たちは、7月25日に出た「京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告(素案)」について、政府の「既存対策の評価」は極めて甘く、現行対策のままでは1億5000万トン(基準年総排出量の11.9%相当)も削減量が不足するとの指摘を行った。 しかもその3分の2が、最大の排出部門である経団連自主行動計画などの産業・エネルギー転換部門にかかるものである。
今回の中間報告案では、不足量は2000万トン(基準年総排出量の1.6%相当)から3400万トン(同2.7%相当)とされているが、原子力の設備利用率を実現不可能な87~88%と見込むなど、産業・エネルギー転換部門を中心にして、極めて甘い見通しであるといわざるを得ない。 しかも抜本的政策の導入・強化に踏み込まず、大量の不足量を京都メカニズムクレジットで補うことが見込まれるが、事業者間の負担などは不明である。
今後より大きな削減は不可避であることを考えれば、国内対策を中心として6%削減の達成を確実にすることが何よりも肝要であり、ここで実効性のある抜本的な政策を導入し、強化をはかるべきである。 しかし国内排出量取引についても両論併記にとどまり、炭素税(環境税)については2005年の現計画の記述のままである。
私たちは、全ての主体に対して課税による価格効果で削減を促す炭素税(環境税)や大規模事業所に排出枠を設ける国内排出量取引制度(キャップ&トレード)の実現を求めてきたが、改めてその早期導入を強く求める。 さらに、当面の重点対策として、
- 事業所・事業者や少なくとも業界(業種)単位で、適切な総量目標による政府との協定化や削減計画書の義務化などの法的制度の導入
- 発電などの燃料を石炭から天然ガスへ転換を促す政策(石炭課税強化など)
- 新築住宅・建築物の省エネ基準義務化/既存住宅・建築物の省エネ化を促進する政策(個人住宅や各業種に応じたきめ細かな診断・助言、経済的インセンティブの導入など)
- 全部門における「見える化」の推進(工場や事業所及び建築物などの効率分布情報など)
- 各部門におけるきめ細かな対策を連携して促進するため、地方自治体における取組みの強化・推進を支援
などを求める。
この後、中間報告が確定され、それに対するパブリックコメントが予定されているが、パブコメ期間を含め、秋の議論に向けて、本日の中間報告(案)を抜本的に見直し、これらの項目を含む実効性のある政策の導入・強化を盛り込み、早急に実施に移すことを強く求める。
以上
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