2020年12月14日

パリ協定採択から5周年にあたってのコメント

特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

 2015年12月12日にパリ協定が採択されてから5年を迎えました。パリ協定は、地球の平均気温の上昇を産業革命前から1.5℃から2 ℃未満に抑制することを目的し、世界全体でその実現に取組むことを約束したものです。トランプ政権の離脱にもかかわらず、2016年11月に発効し、今年はその実施初年にあたります。
一方、世界の温室効果ガス排出はなお増加し続けており、大気中CO2排出濃度は410ppmを超え、今年には産業革命前から1.2℃上昇に至りました。このままでは、地球の平均気温は2030年にも1.5℃を超えてしまう可能性があると指摘されています。1.5℃の上昇に止めるためには、世界の温室効果ガスの排出量を2030年までに半減し、2050年には脱炭素を実現しなくてはなりません。各国の目標引き上げが強く求められてきたところです。
今年はコロナ禍のなか、COP26の開催も来年に延期されましたが、2050年のネットゼロに立ち向かう国は120か国を超えています。また、2050年時点でゼロになっていれば足りるのではなく、直線的な削減の経路を確かなものとすること、そのために社会経済の仕組みも大胆に変革していくことが必要です。
日本も先般、2050年温室効果ガス排出実質ゼロを宣言したところです。12日にパリ協定5周年を記念して、国連・イギリス・フランスの主催で開催された「気候野心サミット(Climate Ambition Summit)」では、菅首相は、2050年排出実質ゼロの表明とともに、COP26前に2030年の新たな目標を通報する意向を明らかにしました。
10月から地球温暖化対策計画・エネルギー基本計画の見直しが開始されています。そこでは、新たに設定された2050年排出実質ゼロとする長期目標を踏まえて、エネルギーミックスの抜本的改訂等による2030年の目標の大幅引き上げと、経済社会の仕組みを脱炭素へと移行させていくカーボンプライシング等の政策の導入が必要です。
本日気候ネットワークでは、「1.5℃目標に向け、2030年までに温室効果ガス50%削減以上の実現を」と題するエネルギー基本計画改定にあたっての提言を発表しました。政府には、ここで提言している目標とプロセスの法定化、2030年の温室効果ガス排出削減目標の50%以上への引き上げと、再生可能エネルギー50%以上、天然ガス50%未満とするエネルギーミックスの決定、さらに、それを実現するために不可欠な政策措置の実施を求めます。
これからの5~10年が、気候危機を回避できるかの将来を決定付ける歴史的に重要な時期となります。気候ネットワークではこれからも主体的に社会変革を牽引し、国・地方自治体、企業、教育機関、NGOなどあらゆるアクターが連帯・協働して行動することを呼びかけていきます。

プレスリリース(印刷用PDF)

パリ協定採択から5周年にあたってのコメント

参考

1.5℃目標に向け、2030年までに温室効果ガス50%削減以上の実現を

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