気候ネットワークは、2020年11月16日、「2020年改訂版 石炭火力2030フェーズアウトの道筋」を発表いたしました。
これは、2018年11月に公表した前回の提言レポート発行から2年が経ち、先般、菅義偉首相が、日本の温室効果ガス排出を2050年までに実質ゼロにする方針を表明したこと等を踏まえて改訂したものです。パリ協定に整合するこの方針の達成のためには、エネルギー起源のCO2の排出をいち早く削減し、脱炭素に向かう必要があります。
なかでもCO2を大量に排出する石炭火力発電は最優先で削減していくことは目標達成に不可欠であり、新規建設を中止すべきであることはもちろんのこと、先進国である日本は、既存の発電所も2030年に向かって全廃する必要があります。
既に、海外の多くの先進国や自治体が2030年までに石炭火力発電の全廃を目標に定めており、企業や金融機関・投資家も脱石炭への方針転換を進めており、脱炭素への国際潮流は大きくひろがっています。
本レポートでは、日本においても現在ある石炭火力発電所の新設計画および建設工事を全て中止するとともに、既存の発電所を2030年までに全て廃止する必要があるという考えに基づき、2018年11月に発表した提言レポート「石炭火力2030フェーズアウトの道筋」を、最新のデータに基づき、改訂版として発表するものです。レポートでは、運転開始年が古く、また発電効率の低い発電所から段階的に2030年に向かって全て廃止していくスケジュールを具体的に提示しています。
LNGガス火力を含む他の発電方式を含む設備容量や、再生可能エネルギー電力の普及、さらに省エネの進展を考慮すれば、電力供給を脅かすことなく、原発に依存しなくても、本計画は十分に実現可能です。
現在、政府では非効率石炭火力に限って2030年フェードアウトさせる方針を取り、規制的措置などの検討を行っていますが、それだけでは全く不十分です。計画中・建設中も含む全ての石炭火力発電について、目標年次を明確に定めた全廃への具体的な道筋を描き、それを国・事業者がそれぞれにフェーズアウト計画に定め、着実な実施を進めていくことが、今求められています。
提言レポート(PDF)
提言レポート「2020年改訂版 石炭火力2030フェーズアウトの道筋」
2020年11月発行 A4版 20p
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「2020年改訂版 石炭石炭火力2030フェーズアウトの道筋」発表
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