<プレスリリース>

バイデン新大統領のもと、米国はパリ協定に復帰へ 

問われる日本の2050年脱炭素への道筋 まず脱石炭を

2020年11月8日

特定非営利活動法人気候ネットワーク

代表 浅岡美恵

 

深刻なコロナ禍と気候危機という人類史的課題の中、世界の注目を集める米国大統領選挙でバイデン候補が当選確実となった。バイデン氏の当選を心から歓迎し、長期的展望をもって米国と世界に展望を開いた米国市民に敬意を表する。世界最大の大国である米国で、科学に目をつぶり、国と世界を分断し、さらにその分断を深めようとしてきたトランプ政権が終わり、バイデン新大統領のもとで速やかにパリ協定に復帰することになる。もはや一刻の猶予もない。世界平均気温の上昇を1.5℃に止めるというパリ協定の目標のために、2050年までに脱炭素を実現し、そこに至る過程として、2030年までに45?50%の排出削減を実行しなければならない。

米国では、気候対策に背を向け、パリ協定を離脱したトランプ政権の下でも、多くの自治体、企業、市民らが、“We Are Still In(我々はパリ協定に留まる)”と宣言し、パリ協定の実施を先導してきた。さらにバイデン政権下で、コロナ禍での雇用や経済の再構築における投資を活かし、脱炭素化を加速させようとしている。バイデン氏は、気候変動対策へ2兆ドルを投資し、2035年には発電部門のCO2排出をゼロにすると公約している。さらに運輸部門や建築部門の取り組みも加速させ、それらの移行により雇用を創出する方針だ。グリーン・リカバリ―の動きは既に欧州などで動き出しているが、米国の参加によって、世界の脱石炭・脱化石燃料、再生可能エネルギー100%への転換は、一層加速するだろう。

日本政府は遅まきながら今年7月から非効率石炭火力発電の休廃止に向けて議論を始め、10月26日、ようやく菅首相が2050年脱炭素を宣言した。しかし、その実現に向けた方針に長期的展望はなく、石炭火力発電の新設・リプレースを推進するという従来のエネルギー基本計画の枠内に留まっている。事故等のリスクの大きい原子力発電への依存による気候危機の解決はありえず、国民の支持も得られない。まず2030年までの温室効果ガス排出削減目標を「1990年比で50%以上削減」へと大幅に引き上げ、遅くともCOP26グラスゴー会議までに国連に提出すべきである。その目標の実現に向けては、夢想的な革新的技術に頼み対策を先送りするのではなく、2030年の石炭火力フェーズアウトを目標に定め、省エネを徹底し、再エネ100%への転換に向けて再エネの主力電源化に必要な投資を促し、制度整備を急ぎ、グリーンな雇用を拡大していくべきだ。安全な気候・環境と持続可能な経済の構築に動き出す世界の流れに追いつく最後の機会を逸してはならない。

以上

 

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【プレスリリース】バイデン新大統領のもと、米国はパリ協定に復帰へ 問われる日本の2050年脱炭素への道筋 まず脱石炭を(2020年11月8日)