2019年6月11日、気候ネットワークは、みずほフィナンシャルグループ(みずほ銀行)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友銀行)、三菱フィナンシャルグループ(三菱UFJ銀行)の3行に対し、『電源開発および宇部興産による石炭火力発電事業への融資に関するお願いとご質問』を送付しました。その趣旨は、電源開発株式会社と宇部興産株式会社が、2019年4月24日に環境影響評価手続きを休止した西沖の山発電所(仮称)について、山口宇部パワー株式会社を通じて酸素吹石炭ガス複合発電(IGCC)の計画変更を検討していること、さらに電源開発の渡部肇史社長が、「(石炭火力発電所への)プロジェクトファイナンスは難しいが、コーポレートファイナンスなら相談できる」と発言していることから、3メガバンクに融資差し控えのお願いと、各社が掲げる石炭ポリシーにおけるIGCCの位置づけなどを確認するものです。
気候ネットワークでは、2018年11月に、石炭火力を考える東京湾の会などとともに、横須賀火力発電所(仮称)、蘇我火力発電所、千葉袖ケ浦火力発電所(仮)への融資に対して、3行に質問書を送っていました。今回は、各行のその際の対応と現状の石炭ポリシーの内容を踏まえて作成しています。
ご承知のとおり、山口県宇部市で進められていた石炭火力発電所「西沖の山発電所(仮称)」建設計画は、大阪ガス株式会社が同計画から撤退することを発表しましたが、共同出資者である電源開発株式会社と宇部興産株式会社は、計画変更を行ったうえで新設計画を継続するとしています。特に電源開発は意欲的であり、2019年5月7日付けの電気新聞には『プロジェクトファイナンスはどこの銀行も難しいが、コーポレートファイナンスなら相談できる』とし、『石炭ガス化複合発電(IGCC)の商用化を検討していく』という電源開発 渡部肇史社長の発言が掲載されています。
私たちは、石炭火力発電所に対して、地域の大気汚染の悪化や地球温暖化に対する影響について大きな懸念を抱いており、いかなる発電技術であろうとその建設に強く反対をしています。電源開発の主要銀行である貴行には融資の相談が来る可能性が高いと考えております。仮にそのような場合でも、パリ協定の下で目指される脱炭素社会の実現に向け、石炭火力発電所の建設に繋がる融資は差し控えるご決断をして下さるよう強くお願いいたします。
関連して確認をさせていただきたいことを次頁に取りまとめました。これに対しご回答をいただきたく、お願い申し上げます。また、本件について、ぜひ私たちと対話を持っていただきたくお願いいたします。
確認・質問事項 1)石炭ガス化複合発電(IGCC)について 2)IGCCの石炭ポリシーにおける位置づけについて 3)融資使徒が明らかな場合のコーポレートファイナンスについて 以上 (みずほ・三井住友向けより) |
質問書 ダウンロード
三菱UFJフィナンシャルグループ・三菱UFJ銀行に対する質問書
参考 各行の状況
前回(2018年11月)の質問に対する各行の対応
みずほ | 三菱UFJ | 三井住友 | |
質問に関する回答 | X | X | X |
返信 | ◯ | ◯ | ◯ |
面会 | X | X | ◯ |
各行の石炭ポリシーの状況
みずほ | 三菱UFJ | 三井住友 | |
USCへの融資 | ◯ | 原則禁止 | ◯ |
IGCCへの融資 | ◯ | 原則禁止? | ◯ |
制定時期など | 2019/5/22 改訂 |
2019/5/15 改訂 |
2018/6/18 制定 |
(気候ネットワーク等の声明) | 2019/5/22 | 2019/5/16 | 2018/6/21 |
各行が公表している石炭火力に関する方針より気候ネットワークが作成
参考URL
【報告】みずほ、三菱UFJ、三井住友、農林中金の回答及び対応について
【横須賀】3大銀行に横須賀火力発電所新1・2号機への融資について質問を送付