2010年11月16日

「「京都議定書単純延長」の議論について」 を発表しました

浅岡美恵 気候ネットワーク代表

地球温暖化対策の国際的な枠組み作りに関して、国内では、「京都議定書単純延長反対」の議論が盛んに行われている。本ペーパー(全8頁)では、この問題について、課題・論点を整理し、日本政府が取るべき立場について若干の提案を行う。

<要 旨>

日本政府は、地球温暖化の次期枠組みに関し、米中を含む全ての主要排出国が参加する新しい一つの議定書作りを提案しており、京都議定書単純延長には反対している。京都議定書の削減義務が世界の排出の3割しかカバーせず、日本だけが厳しい目標を課される京都議定書を続けることは避けるべきとの理由が語られる。

日本の「一つの議定書」提案は理想的と言えるかもしれないが、現状の気候変動を巡る国際政治の中では、数年内にこれが実現出来そうもないことは明らかであり、世界は、解決の道筋として取るべき次の行動には、京都議定書の第2約束期間の約束を持ちつつ、米中をはじめとした世界全体の行動を確保する道(2トラック)を検討する流れになっている。京都議定書を延長するか否かは法形式の問題であり、実質的に世界の主要国の行動を確保する方法は、2トラックでも実現し得るためである。

そのような情勢の中、「京都議定書単純延長反対」の一点張りの日本政府の方針は、世界の中でも孤立を極めつつある。柔軟性を持たないまま「1つの議定書」にこだわり続ければ、各国が歩み寄るべき国際交渉の前進を妨げることになりかねない。その結果、米中などの主要経済国が参加する実効的な枠組みの構築はより難しくなるおそれもある。

カンクンCOP16に向けて、日本は、法形式の姿にこだわるのではなく、各国の実質的な行動を促進することを目指し、京都議定書の第2約束期間の合意を含めた柔軟な交渉に改める必要がある。そして、2トラックの流れの中で、気候変動を防止するためにいかに世界全体の行動強化につなげていくかの戦略を立てていくべきである。

提案の内容については、以下のPDFファイルをご参照下さい。

以上

発表資料

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