2010年12月1日

地球温暖化対策基本法案、まさかの廃案!?
~民主党政権は25%削減公約も引き下げるのか?~

浅岡美恵 気候ネットワーク代表

昨年の政権交代後、日本は中期目標25%削減を掲げることを世界にアピールし、今年3月、キャップ&トレード型の国内排出量取引や地球温暖化対策税、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度などの3つの政策を軸とする「地球温暖化対策基本法案」を閣議決定した。しかし、参議院での法案審議中に国会が解散となり、法案は廃案となった。このことは、地球温暖化対策の国内での大幅削減を実行するために、その礎となる法律を求めてきた市民を大きく落胆させた。

政府は10月8日、「地球温暖化対策基本法案」を再び閣議決定したが、この秋の臨時国会では法案の審議にすら入らず、12月3日の会期末を迎えようとしている。この間、経済産業省の産業構造審議会環境部会地球環境小委員会政策手法ワーキンググループでは、法案で掲げられたキャップ&トレード型の排出量取引制度を完全否定する方向で議論が進み、10月25日には旧政権下で行われてきた自主行動計画を延長する考え方にたった「ボトムアップ方式に関する基本的な考え方」を発表している。

民主党では、旧来の産業構造からグリーン産業を成長させ、温室効果ガスの大幅削減を達成させるために25%削減をかかげてキャップ&トレード型国内排出量取引制度などの新しい政策を提案していたはずであり、またそれが多くの市民の共感を産み、期待と賛同を得てきたはずである。もし、民主党政権が、こうした方針を無視した経済産業省主導の審議会内容に引きずられ、法案を廃案とするようなことがあれば、完全な公約違反であり、市民の期待を完全に裏切るものである。

また現在、メキシコカンクンでは、気候変動枠組条約第16回締約国会議がはじまり、中長期の大幅削減に向けた国際合意を目指している。その最中に、これまで民主党政権が公約に掲げ、閣議決定した「地球温暖化対策基本法案」を廃案とすれば、世界にも示しがつかないだろう。かりに年内に通せずとも審議は継続して行うこととし、来年速やかに成立させることを求めたい。

プレスリリースの印刷用PDFファイルは以下をご参照下さい。

以上

発表資料

特定非営利活動法人 気候ネットワーク
気候ネットワーク(東京事務所),浅岡美恵(075-211-2774)
〒102-0083 東京都千代田区麹町2-7-3 半蔵門ウッドフィールド2F
TEL 03-3263-9210、FAX 03-3263-9463
E-Mail:tokyo@kikonet.org