<プレスリリース>
日本製紙秋田工場、石炭バイオマス火力発電所の計画を撤回
~石炭計画の中止を歓迎。国内石炭火力発電所新設計画中止13基に~
2019年2月28日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
日本製紙が2月28日、秋田県秋田市の日本製紙秋田工場内で計画していた石炭バイオマス火力発電所新設計画について撤回したことを表明した。これにより、2012年以降に把握された日本国内の石炭火力発電所建設計画50基のうち、13基が中止・燃料変更となった(50基中、12基が稼働、25基は建設中もしくは計画中:2019年2月28日現在)。気候ネットワークは、石炭燃料を使用する火力発電所の計画が1基中止に至ったことを歓迎する。
本事業計画は、環境影響評価法の対象11.25万kWよりも規模が下回る11.2万kWの計画で、国のアセスメントは実施されていないが、秋田県環境影響評価条例の対象である。この秋田県条例に基づき、2014年12月に環境アセスメントの方法書、2016年1月に評価書が公表され、すべての環境アセスメントの手続きを終えた形となっていた。しかし、その後の3年に渡って工事が着工していなかった。日本製紙の発表によれば、計画検討取りやめの理由を「本計画については十分な事業性が見込めないと判断した」としている。公式発表前日の報道には、「バイオマス発電への参入が相次ぎ、海外から調達する燃料の木質ペレットや建設費の高騰で採算の見通しが立たなくなった」とも記されている。日本製紙は、2013年以降の計画だけでも、静岡県、宮城県の2ヶ所で石炭火力発電を建設し、すでに両方とも稼動している状況であり、撤回を表明したのは今回が初めてとなる。
石炭火力やバイオマス火力を巡る情勢は、この1年で大きく変化しており、脱石炭の流れはこれまでにない勢いで加速している。建設費や燃料価格の高騰が主な理由としてあげられるが、脱炭素社会を目指す取組みが進められる中で「石炭」という選択肢はないことが定着してきたことを表す決定だと言える。
また、気候ネットワークでは今月21日、小規模火力発電所に関するレポートをまとめ、秋田の計画が停止していることを指摘するとともに、日本製紙本社および秋田工場に対しても中止の発表を求めていた。小規模の計画では、MC川尻エネルギーサービス(三重県)が、本計画と同様に計画停止の状態となっており、早急な中止判断を求める。
参考
日本製紙ニュースリリース「日本製紙秋田工場発電事業計画の検討取り止めについて」
共同通信報道「日本製紙、秋田バイオマスを撤回 参入相次ぎ、燃料費は高騰」
プレスリリース(PDF)
【プレスリリース】日本製紙秋田工場、石炭バイオマス火力発電所の計画を撤回 ~石炭計画の中止を歓迎。国内石炭火力発電所新設計画中止13基に~(2019/2/28)
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