<プレスリリース>
日本最大規模の袖ケ浦の石炭火力発電所建設計画が中止に
~CO2排出1,200万t/年の計画中止を歓迎!国内の計画中止は11基に~
2019年1月31日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
本日1月31日、東京ガス(株)、九州電力(株)、出光興産(株)は、千葉県袖ケ浦市で計画していた大規模石炭火力発電所を断念すると発表した。この計画は、3社が共同出資する千葉袖ケ浦エナジーによるもので、設備容量は200万kW(100万kW×2基)と、国内最大級の設備容量で、CO2排出量は年間約1200万トンにも及ぶものだった。パリ協定の「1.5℃目標」に照らせば、新たな石炭火力発電所の建設は容認されず、今回の事業者決定は、良識的かつ真っ当な判断であり、気候ネットワークはこれを歓迎する。
これにより、2012年以降に把握された日本国内の石炭火力発電所建設計画50基のうち、11基が中止・燃料転換となった(50基中、10基が稼働、29基は建設中もしくは計画中:2019年1月30日現在)。また千葉県では、昨年12月27日に千葉市の蘇我火力発電所建設計画の中止に続く今回の計画中止により、県内3ヶ所の石炭火力の新規計画案件(市原市、千葉市、袖ケ浦市)がすべて中止となったこととなる。こうして結果的に千葉県が実質的に「脱石炭県」となったことも歓迎したい(千葉県には既存の石炭火力発電所もない(自家発を除く))。
事業者のリリースでは「十分な事業性が見込めないとの判断に至った」としている。現在の「脱石炭」の世界の潮流を踏まえれば当然の判断だが、それに加え昨年夏に東京ガス社長が袖ケ浦の計画については「住民の意見もふまえて判断する」と公表したことを受け、地域住民をはじめ市民やNGOが粘り強く事業者に働きかけを行ってきたことも小さくないと考える。気候ネットワークでは、本計画が浮上した当初から、人口密集地であり、かつ工業地帯で大気汚染の問題が顕在化する地域に大規模な石炭火力発電を建設することの深刻さや問題を重視し、地元住民団体との連携を深めてきた。袖ケ浦市民が望む政策研究会や石炭火力を考える東京湾の会などの様々な団体が結集して、事業者に対して中止を求める働きかけを継続し、環境アセスメントのプロセスにおいても環境保全上の問題追求を厳しく行ってきたことが、今回の事業者の決断を導いたものとして、大きな成果を感じ取っている。
さらに、世界の「脱石炭」への勢いが加速する中で、石炭産業に対する投融資撤退運動(ダイベストメント)も広がっている。こうした情勢をふまえれば、他の石炭火力発電所建設を計画している事業者も同様に中止の判断をすべきである。
なお、九州電力と東京ガスは、今後の方針としてLNG火力について検討するとしているが、「1.5℃目標」を達成するには、2030年までに2010年比で45%削減、2050年までに実質ゼロとする必要があり、たとえLNG火力でも新規に建設すれば大量のCO2排出増を招き、パリ協定に整合しないことは明らかであることから、新規建設はすべきではないと考える。
参考:事業者プレスリリース
https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20190131-02.html
http://www.kyuden.co.jp/press_h190131-1.html
http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2018/190131_1.pdf
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