2011年11月25日

ペーパー「追加試算(3)2012年に脱原発を実現する場合の検証」

特定非営利活動法人気候ネットワーク

気候ネットワークは本日、ペーパー「追加試算(3)2012年に脱原発を実現する場合の検証」を発表した。これは、2020年に脱原発を実現する場合について、そこに至る過程として、2012年で全原発を停止し、そのまま再稼働せず脱原発に至るケースと、一部再稼働を経て2020年に全廃に至るケースとを比較検証するものである。

試算の結果

1)政府による電力需給見通しにおいても、今年並みの節電実施があれば今冬・来夏の9電力合計の供給力は足りるとされている。また、実際に想定される供給力はさらに高いとみられ、原発が全停止する2012年、あるいは2013年にもピーク電力需給に問題はない。

2)温室効果ガス排出量は、2012年原発全廃と、一部再稼働2020年全廃の2ケースで大きな違いはない。これは、現実に2012年~13年はいずれにせよすべて停止する可能性が高いこと、またその後、運転開始30年超の老朽原発を除いただけでも原発の3分の2は動かせないと容易に判断され、大きな違いが出にくいこと、さらに、温室効果ガス削減に寄与するのは原発ではなく、その他の省エネ・燃料転換・再生可能エネルギー対策によるためである。

3)電力向けの燃料コストは原発のいかんにかかわらず今後上昇するが、その主因は化石燃料価格高騰である。また原発は、停止することにより、廃棄物処理コスト、メンテナンス費用等の削減もできる。2012年原発全廃と、一部再稼働2020年全廃の2ケースで大きな違いはなく、「10年に1度の重大事故の可能性」のある原発事故のリスクを回避し、化石燃料等のコスト増も回避しながら2020年25%削減を達成することは、無理なく実現できる。

4)政策の抜本強化により、脱原発を図りながら温室効果ガス25%を実現することは、原子力のリスクも化石燃料の環境負荷・価格高騰リスクも減らし、かつ、対策需要により今後の低炭素経済を担う産業、地場産業を強化して震災被災地をはじめ全国で雇用を増やしていくことでもある。このような低炭素な持続的な社会づくりは、危険な気候変動を回避するための先進国の責任として、また、日本の将来世代への責任として避けて通ることは許されない。他の先進国・新興国・途上国の持続可能な低炭素社会構築への「モデル」となることが、エネルギーを大量に使用し、今回のような深刻な原発事故を起こした日本としての責任だと言える。

※詳細についてはペーパー本文をご覧ください。

 

発表資料

ペーパー本文「追加試算(3)2012年に脱原発を実現する場合の検証」(PDF:462KB)

 

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