世界の脱炭素化の動きは、パリ協定とともに加速化してきています。昨年のCOP23では、イギリスやカナダを中心に「脱石炭促進アライアンス」が形成され、参加国・自治体は36に及んでいます。また、海外の公的年金基金や大手民間銀行も次々と、石炭関連企業からの投資撤退(ダイベストメント)方針を表明してきています。
一方、日本政府は「質の高い」インフラ輸出の増大方針を掲げるなか、官民をあげて「高効率」石炭火力発電所の輸出を推進しています。
この世界との方向性の違いは、個別の案件でも顕著に見えはじめており、たとえば、昨年、国際協力銀行(JBIC)と日本の民間銀行が融資を決定したインドネシアの石炭火力発電事業2案件では、仏の大手民間銀行らが融資決定前に撤退。今年4月にも同様に、JBICと日本の民間銀行が融資を決定したベトナムの石炭火力発電事業で、英の大手民間銀行が融資決定前に撤退を決めています。いずれの案件も融資を継続する日本に国際的な批判が集まりました。
また、石炭火力発電事業は、こうした脱炭素、すなわち、気候変動の観点からの問題のみにとどまらず、輸出先である地元の大気汚染や人権侵害などを引き起こしていることもしばしばです。
本勉強会では、世界の脱炭素化の動きを概観する他、JBICが融資しているインドネシア・チレボン石炭火力発電事業・拡張計画について、2度の住民訴訟を支援してきた現地NGO・弁護士をお招きし、現場での状況や5月上旬に出る再訴訟の結果を含む最新情報を報告してもらいます。気候変動に対する世界での取り組み、また、地元での環境社会問題と事業の違法性や必要性の観点から、世界で孤立していく日本の「高効率」石炭火力推進の現状と課題を考えます。ふるってご参加ください。
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